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rkrn 教育実習生と成長1年@

無責任で、口があまりよろしくない。周りから言わせれば、私の印象は大抵これ。確かに自分で言うのも何だけどそうだと思う。でも、そんな言われようの私が志す職業はずばり教師なのである。私が教師を志す理由?そんなの子供が大好きだからに決まってる。むにむにふわふわマシュマロみたいに柔らかくって、綿菓子みたいにほんのり甘い香りがする彼らは正に天使!ときどき彼らを見る目が危ないって、同級生の忍たまに言われるけど、それは誤解だ。私は本当にただ純粋に彼らが大好きなだけ。(それに私は、彼らのためなら、不思議な力が湧いてきて、どんなことだってできるもの。)ほら、私のお膝の上にちょこんと控えめにお尻を乗せてる彼だってとってもとっても愛らしい。彼を抱き締めながら、その首筋に鼻先をすり寄せて、その甘い香りを胸いっぱいに吸う。ああ、とろけちゃいそう!

「#名前#先輩くすぐったーい!」

私の前髪が彼の首をつついていたのがいけなかったみたいで、彼は私の腕の中できゃっきゃっと身をよじる。でも今は彼の柔らかく甘い身体を堪能することに夢中で、彼の抵抗なんて気にも止められない。逃げるのを諦めた彼は逆に私を抱き締め返してきた。首に回される細い腕がぎこちなくて、無性に愛しい。その腕がふとぎゅうっと強くなった。耳元に吐息がかかって、内緒話でもするかのように小さな小さな声で囁いてきた。

「…#名前#先輩、あのね?」

なあに?とふんわり彼の頭を撫でた。

「…僕が大きくなったら結婚、してくれる?」

突然のプロポーズに目を見開いた。その先に見えたものは、真っ赤な顔に潤んだ瞳、震える手。あああなんて可愛い生き物なの子供って!私は彼を抱き締める腕を強くして、待ってるね、とたいてい返答するのだ。
まぁとにかく、私はどうも本質的に子供に好かれるものがあるらしく、そんな彼らからプロポーズをされたのは数知れず。けれども無責任が服を着て歩いているようなこの私……何が言いたいのかというと、つまりはイエスと応えたのも数知れなかったというわけ。だって、正直なところ相手は子供じゃない?そういう対象で見たことなんてないし、だったら冗談だって思うのも別に不自然じゃない。だからこそ私は気付けなかった。彼らの本気に。純粋すぎた心に。

そして、私の無責任のツケは5年後、きっちり耳を揃えて返ってきたのだ。



好きな1年でどうぞ。大抵の1年が怖い成長の仕方をしていて愕然とするやつ。


2013/08/30
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