フローリシュ・アンド・ブロッツ書店に着いて私は呆然とした。
人集りが出来ていて近くで同じ顔をしたハリーとロンが立っている。
ハーマイオニーはとても嬉しそうな顔をしていた。
「おーい!名前、シャロン、こっちだ!」
手を振って合図をするフレッドの元まで行くと、人口密度が高いせいかとても暑い。
ジョージがすかさず私の隣に移動するのも一苦労な位。
「ギルデロイ・ロックハートって、どういう人?」
「色々な事をしたらしいけど…怪しいよ。あ、ママの前では言っちゃ駄目」
そう言ってジョージが指差した先にモリーさんの後ろ姿が見えた。
その先に壁一面に貼ってある写真が見えて一斉にウインクする。
シャロンがボソッとナルシストと呟いた瞬間フレッドが吹き出す。
「名前、奥に行こう。ジニーが待ってる筈だ」
「そうね。教科書買わなくちゃいけないし」
アーサーさん達も合流し、人混みを掻き分けて進むと見慣れたプラチナ・ブロンドが見えた。
そして次に目に入ったのはハリーとハーマイオニーに上着を掴まれているロン。
また何かがあった事は確実で、目が合ったドラコをジッと見つめる。
「ルシウス」
アーサーさんが呟いたのが聞こえてそちらに目を向けるとこの間見たプラチナ。
アーサーさんに向けて嫌みを言い出した彼がドラコの父親。
私はそっとドラコの隣に移動して彼のローブを軽く引っ張る。
「名字」
口を開こうとした時、分厚い本が落ちてくるのが見えて咄嗟にドラコの腕を引く。
おかげで私の頭に一冊降ってきて角が当たっで一瞬目の前がチカチカした。
腕の中に居るドラコが呆然と固まって動かないので、頬を軽く突つついてみる。
「は、離せっ!」
「本は当たらなかった?」
無言で頷いたのを見てホッと息を吐く。
まだズキズキする頭に痛みを和らげるように手を当てる。
一瞬しか見えなかったけれどかなり分厚かった。
シャロンにバレたら怒られてしまうかもしれない。
「お前…頭に」
「平気よ。ドラコに当たらなかったなら」
「…馬鹿じゃないのか」
俯いたままドラコは私の側を離れ、私も腕を引かれた。
腕を引いたのはシャロンで掴む力はいつもより強い。
ちょうどハグリッドがアーサーさん達を引き離したところだった。
マルフォイさんはジニーに捨て台詞と共に本を返しドラコに合図して踵を返す。
「ルシウス・マルフォイの居る所であいつに近付くなんて駄目よ」
シャロンの言葉に頷きながら、私自身マルフォイさんに近付くのは得策では無い気がしていた。
彼からしてみれば私はドラコにちょっかいをかける穢れた血。
マルフォイさんはドラコより簡単に私やハーマイオニーを侮辱するだろう。
「名前!いつの間にか居なくなってて心配したよ!」
「ごめんなさいジョージ」
「俺達の間な」
フレッドに手を取られて、反対側はジョージの手。
結局漏れ鍋まで決して離さないという雰囲気の二人に挟まれて歩いた。
(20121019)
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