結局ドラコとはあれ以来話す機会がなかった。
それもシャロンがずっと警戒していたからなのだけれど。
寝る前にと突撃してきたシャロンはチャーリーの話をしている。


「ねえ、シャロン。ドラコはそんなに悪い子じゃないわよ」

「…あいつなんてどうでも良いのよ。問題は父親の方よ」


持っていたチャーリーからの手紙を放り出してシャロンは起き上がった。
ドラコの父親というと、あの綺麗なプラチナが思い浮かぶ。
色は違うけれどドラコが髪を伸ばせばあんな感じなのだろう。


「ルシウス・マルフォイは間違いなく死喰い人よ」

「死喰い人って、ヴォル…例のあの人の?」

「そうよ。家には闇の魔術の品が沢山あるらしいわ」

「それって、もし例のあの人が戻って来たらいつかドラコもなるのかしら」


シャロンは戻って来るなんて冗談じゃないとチャーリーの手紙を拾った。
その様子に謝罪をして私も双子の手紙を開く。
パーティーから帰ってきたらもう返事が来ていたのだ。
けれど文字は入って来ないし、思い浮かぶのはドラコの事。
多分、万が一ヴォルデモートが戻って来たらかなり高い確率でドラコは死喰い人になる。
ビルから聞いた話では死喰い人は腕にヴォルデモートの印があるらしい。
ルシウス・マルフォイは死喰い人だからその印があるのだろう。
そんな印をドラコにつけさせるなんて、回避しなければ。
それは凄く凄く難しい事だと思うけれど。


「どうしてそんなにマルフォイが好きなのよ。ビルが居るじゃない」

「ビルとドラコは違うわ。ドラコは…フレッドやジョージ達と同じ感じね」

「弟?友達?」

「弟…かしら」


ふぅん、と小さい声で言うシャロンは複雑な顔をしている。
なんだかんだとシャロンは私がドラコに話しかけるのを嫌だと言う。
それはやはり純血やらマグルやらが関わってくる。
純血主義でなくても魔法族は血に対して拘る傾向があるのは確かだ。
私の知る限り唯一の例外はウィーズリー家の人達位だろうか。


「フレッドとジョージはなんて?」

「ハリーを連れ出しに行くって」

「返事来なかったの?」

「そうみたい。アーサーさんの車って…見られたらどうするのかしら」

「車?」


シャロンに手紙を見せるとその顔が輝いて次に顰められた。
二人でああでもないこうでもないと話していても不安は拭えない。
空飛ぶ車がマグルの世界で普通じゃない事はあの二人も知っている筈。
もし見られたら、車にかけられた魔法が切れたら。
眠り込んでしまったシャロンの頭を撫でて溜息を吐く。
とりあえず私はあの二人の知らせを待つしかないのだろう。




(20121019)
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