ある朝大広間に行くとハリー達が嫌われていた。
ついこの間までハリーは皆からとても人気だったのに。
何事か解らない私に理由を教えてくれたのは近くを通りかかったリーだった。
ハリーとハーマイオニーとネビルが一人五十点減点されたらしい。


「ハリー」

「…名前?」

「元気?っていうのも変かしら」


そんな状態が暫く続いたある日、クィディッチの練習終わりのハリーを捕まえた。
ハリーはあんなにクィディッチを楽しんでいたのに、表情が曇っている。
一人で歩いていたという事はきっとチームでの居心地が良くないのだろう。
ハリーは私を見てもふいっと顔を逸らしてしまった。


「悪口なんて言わないわ」

「でも名前だって」

「私はハリーの友達のつもりだけど?」


顔を上げたハリーに笑顔を向けるとやっとハリーも笑ってくれる。
ハリー達が嫌われ始めた日とチャーリーの手紙を考えればなんとなく解った。
ノーバートを運ばなければいけないのは仕方がない。


「罰則を受けるんでしょ?」

「あー…僕忘れてたよ。罰則あるんだった。しかもマルフォイも一緒なんだよ」

「え?」


驚いた私にハリーが話してくれた内容に頭を抱えたくなる。
罰則を受けるのだから何も言わないけれど。
偶にはドラコも罰則を受けるのも悪くない。


「大丈夫よ。皆今は少しショックを受けているだけだわ」

「そうだと良いけど」


肩を竦めるハリーに大丈夫だと笑顔を向ける。
罰則は何だろうと話しながら歩いていると目の前にドラコが見えた。
今日もまたクラッブとゴイルを引き連れて歩いている。
あの二人はドラコにしてみれば友達なのだろうか。
ハリーと引き合わせると多分ドラコはまた絡んでくるだろう。
気に入らないのなら放っておけば良いのに。
売り言葉に買い言葉のハリーもハリーだけれど。


「マルフォイ」


気付いたハリーを見て、この二人はお互いにセンサーでもあるのかと思ってしまう。
ドラコも気付いたらしく、此方に向かって歩いてきているし。
頭を抱えたくなりながらも杖に手を伸ばし直ぐ呪文を掛けられるようにしておく。
嫌味ったらしい笑顔のドラコを初めて見るような気がする。
思い返せば警戒をしているか嫌がっているか驚いているか。
なんだか思い出すと切ない気持ちになってくる。
嫌味ったらしいとはいえドラコの笑顔は初めて見るのだ。


「掃除かい?ポッター、せいぜい綺麗にしてくれよ」

「マルフォイ、君こそ掃除したらどうだ。フィルチに褒めて貰えるかもしれない」


二人が睨み合っているのをどうしたものかと眺める。
こんな廊下で喧嘩させる訳にもいかないし口を挟むのもどうかと思う。
かと言ってハリーを引っ張っていけばドラコはきっと馬鹿にする。
私は気にしないけれどハリーは気にするだろう。
顎に手を当てて考えているとドラコがチラリと此方を見た。


「グレンジャーには振られたのか?今度は名字と仲良くするのかい?」

「君こそ、パーキンソンはどうした?」

「まあ、ドラコはガールフレンドが居るの?」


思わず口を挟んだ私の方にドラコがバッと音が出そうな勢いで顔を向ける。
首を傾げてドラコを見つめ返すと片眉がピクリと動いた。
横からも視線を感じてチラリと見るとハリーと目が合う。


「僕にガールフレンドは居ない。ポッターのデタラメを信じるな」

「そうなの?残念ね」

「…行くぞ!クラッブ!ゴイル!」


突然顔を赤くしたドラコは二人を引き連れて去っていく。
ハリーがあんぐり口を開けて私を見つめている。




(20121015)
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