クィディッチチームのメンバーを送り出してシャロンとロン、ハーマイオニーと観客席に急いだ。
けれど、あの日以来ロンは怒っているのか私とは話さない事を決めたらしい。
オロオロするハーマイオニーを大丈夫だと安心させているとロンは殊更ムッとする。
気長に解決するしかないので特に何もしようとはしない。
スネイプ先生が審判をすると言うのでフレッドとジョージが文句を言っていた。
試合が始まってからとにかく心配でグリフィンドールの選手を目で追いかける。
ハーマイオニーは指を十字架の形に組んで祈っていたし、シャロンはウッドに向かって何か叫んでいた。
私はハラハラしてしまって自然と手を合わせて見守る。
ジョージがペナルティーを受けているのは納得はいかないけれど気にしてはいられない。
「ハリーが!」
ハーマイオニーが叫んだ声にハリーを探すと地上に向かって物凄いスピードで飛んでいく。
あのまま行くとぶつかってしまうと思って目を逸らした時、ロンが消えた事に気付いた。
まさか、と辺りを見渡すとロンがドラコと転がり回っていてネビルはクラッブとゴイルと殴り合っている。
「ロン!ドラコ!駄目よ!」
止める為に出した声は応援の声に紛れて消えてしまう。
どうしようと慌てているとスタンドがドッと湧いた。
どうにでもなれ、と杖を振るとクラッブとゴイルが吹っ飛んで気を失う。
ドラコの方はロンがハリーの方に気を取られた隙に引き剥がす。
ロンは鼻血が出ていたし、ドラコも顔に幾つか殴られた痕がある。
「ドラコ?大丈夫?」
しかし、ドラコはすっかり気を失ってしまっているらしい。
膝に頭を乗せて治癒呪文を唱えると顔の傷が消えていく。
ハンカチで顔の血を拭いていると、いきなり手を掴まれた。
「ハンカチが汚れるだろう」
「そんなの気にしないわ。それよりまだ痛い所はある?」
無言で首を振るドラコにホッと息を吐く。
ロンの鼻血も治してあげなければいけない。
ネビルもまだ気を失っているままだし。
起き上がったドラコの顔にまだ付いている血を拭った。
「名字、ハンカチが汚れる」
「気になるならあげるわ。拭き終わったら捨てなさい」
「は?」
「私ネビルも見ないと。じゃあね、ドラコ」
半ば無理矢理ハンカチを押し付けてドラコに手を振る。
ネビルはドラコより酷く、鼻血も出ているし目の周りは腫れていた。
同じように呪文を唱えてロンを探したけれど見つからない。
見渡すとフレッドとジョージが大きく手を振っているのが見える。
手を振り返すとそっちに行くから、とジェスチャーをし出す。
ゆっくり首を振って城に向かう出口を指差すと二人とも頷いた。
出口で合流すると二人は素早く私の両隣に並んで城へと歩き出す。
遠くの方でウッドやシェーマス達と肩を組んで歌っているシャロンが見える。
なんだかんだで彼女はクィディッチが大好きなのだ。
「見ててくれた?」
「見てたわ。でも、あっという間であんまり活躍はなかったわね」
「ウッドがハリーに早く終わらせろって言ったんだよ」
「僕等もう少しブラッジャー叩きたかったな」
そう言って二人がブラッジャーを叩く動きをする。
残念がっている二人を励ましながら夕食の為に大広間に向かった。
(20121013)
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