クリスマス休暇はあっという間に終わって新学期が始まると更にあっという間に時間が過ぎていく。
大体を図書館か談話室で過ごしてレポートをやってビルから貰った呪文集を読んで過ごした。
フレッドとジョージを始めとするクィディッチチームの面々は常にグッタリしている。
ハリーは特に図書館でよく見たけれど、一年生という事もあってかよくフラフラしていた。


「名前、もう眠いよ」

「駄目よ。提出明日なんでしょう?」

「でも、僕等もうヘトヘトで」


言いながらも寝てしまいそうなフレッドに横で頷くジョージ。
二人を叱咤してレポートをやらせているけれど、終わる気がしない。
フレッドなんかもう書いてる字が読めるものではなかった。


「仕方ないから、明日朝手伝ってあげる」

「うん」

「さすが名前」


そう言って二人はそのままお互いに凭れかかって目を閉じる。
慌てて二人の体を揺らすけれどもうすっかり夢の中。
仕方ないので杖を振って二人にブランケットを掛ける。
風邪など引こうものならウッドが発狂してしまうかもしれない。
談話室に視線を巡らせるとハリーも似たような状態だった。
ハーマイオニーが一生懸命寝ないように声を掛けている。


寝てしまった二人の為に教科書を捲りながら要点を書き出しているとソファーが揺れた。
揺れの正体は疲れきった顔をしているシャロン。


「やっと解放されたわ」

「お疲れ様」


チームのメンバーがヘトヘトな状態の中ウッドの話し相手はシャロンだった。
毎回話がとても長いので最近シャロンは逃げ回っている。
それでもどういう訳か毎回最後には捕まってしまうらしい。


「あら、二人寝ちゃったのね」

「部屋に行って欲しかったんだけどね」

「魔法で運べば良いじゃない」

「後でね。寝かせてあげたいから」


シャロンは甘いわね、とからかう口調で言って教科書を開く。
甘いのは自覚があるので苦笑いを返してまた教科書を捲った。
フレッドとジョージはこれでいて実はとても優秀。
クリスマス休暇の前に雪玉に魔法をかけて罰則を受けていたりしたけれど。


カリカリとシャロンと私の二人分の羽根ペンの音。
ハーマイオニーの声もまだ聞こえている。
それ以外は静かで、偶に風で窓が揺れる音がする位。
不意に服が引っ張られて視線を落とせばフレッドの下敷きになっているジョージと目が合った。


「あらジョージ、起きたの?」

「うん、苦しくて」


顔を顰めて体に乗っているフレッドを押しのける。
フレッドはまだすやすやと気持ちよさそうに眠ったまま。
キョロキョロと辺りを見回すジョージにお水を差し出す。
するとジョージはフレッドを更に押しやって私の隣に座った。


「あ、名前、これって」

「要点だけ書いたから、後は纏めるだけよ」

「有難う!」


抱き付いてくるジョージに羊皮紙を渡すと早速羽根ペンを手に取る。
寝起きなのに早速書き始めるならば朝やらなくても済むかもしれない。
気持ちよさそうに寝ているフレッドは別として。


「去年もこんな事あったね」

「そうね。フレッドは去年も寝てたわ」

「成長してないわ。名前、二人に甘過ぎよ」


ジョージがシャロンに向けてベッと舌を出す。
シャロンも負けじとジョージに舌を出した。


「二人とも、レポート良いの?」


私の言葉に二人は慌てて羽根ペンを手に取る。




(20121011)
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