教科書を閉じて鞄に荷物をしまうとロンとハーマイオニーが目に入った。
ハロウィン以来すっかりあの三人は仲良しでよく一緒に居る。
良い事だと思い静かに図書館を出るとチェシャーが飛んできた。
手紙を受け取ると頬にスリスリと体を寄せて飛んでいく。
宛名を見るとフレッドとジョージの名前。


示された場所に着いたのに誰も居ないので本を開いた。
夏休みにビルに貰った本はビルの言った通りとても面白い。
今日は十一月でも割と暖かくて此処は太陽の光が届くので読むにはピッタリ。
課題も図書館で全て終わらせてきたし良い事尽くしだ。
順調に読み進めていると声が聞こえてくる。
本から顔を上げるとフレッドとジョージが歩いてくるところだった。
二人ともユニフォーム姿に箒を持って大きく手を振っている。
手を振り返すと私はブックマーカーを挟んで本を閉じた。


「練習だったのね」

「お待たせ名前」

「なかなか終わらなくてさ」


両側に座った二人からはほんのりと太陽と汗の匂い。
去年まではチャーリーが練習日を教えてくれていたけれど、ウッドは教えてくれない。
フレッドに聞いた話だと誰にも練習を見られたくないらしい。


「言ってくれたら良かったのに」

「駄目だよ名前。チェシャーに手紙を頼むだけで精一杯だったんだ」

「僕等急がないとオリバーに殺されるところだったんだよ」


ウッドを思い描いて妙に納得してしまった。
二人も渋い顔をする程ウッドのクィディッチ熱は凄い。
勿論二人も同じようにクィディッチが好きだけれど。
とりあえず、二人は汗を掻いたのなら早く着替えた方が良い。
幾ら今日が暖かい日だとは言っても今は十一月。


「私への用事は此処じゃないと駄目な用事?」

「此処じゃなくても大丈夫」

「じゃあ、貴方達着替えなきゃ。風邪引いちゃうわ」


素直に立ち上がった二人とグリフィンドール塔に向かって歩き出す。
太陽の光が当たらなくなったせいか廊下は少し肌寒く感じる。
私でこれなのだから隣を歩く二人はもう少し寒いかもしれない。


談話室に着くなり二人に必死に談話室で待っていてと言われた。
余りにも何度も言うので早く着替えてこいと背中を押す。
すると二人は渋々といった様子で寮への階段を登っていった。
空いているソファーが無いか見渡していると見知った顔が目に入る。


「ハイ、アンジェリーナ」

「ハイ、名前。相変わらず双子に付き纏われてるのね」

「ふふ、慣れちゃったわ」


アンジェリーナは私の言葉に苦笑いをした。
確かに私はシャロンと居るか双子と居るかが多い。
廊下で会えばドラコに話しかけているけれど。
と言っても彼はまだ私を警戒していてそれは一方的に。
ハロウィンの時抱き付いたのがいけなかったかもしれない。


「でも、アンジェリーナは双子と居るの好きでしょう?」

「面倒な事にならなければね」


面倒な事を思い浮かべて苦笑いをする私に手を振ってアンジェリーナは階段を登っていく。
擦れ違うように双子が降りてきたけれど、その赤毛は濡れたまま。


「二人とも髪の毛濡れたままだと風邪引くわよ」

「じゃあ名前が乾かしてよ」


ニッコリ笑ったフレッドに溜息を吐いて杖を振った。
これがいけないのかもしれないけれど、風邪を引かれても困る。
優しいと声を揃えて言う二人を座らせると教科書を取り出した。


「レポート手伝って名前!」

「提出は?」

「明日」


白紙のレポートを眺めて頭抱えたくなりながら教科書を開く。
ごめんね、とジョージがこっそり言ったからよしとしよう。




(20121009)
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