慣れたと言えどホグワーツのハロウィンは相変わらず恐い。
パーシーはまたお菓子を用意してくれていた。
フレッドとジョージからは逃げていたし、勿論リーからも。
シャロンはキャラメルを渡してキャラメルを貰って。
なるべく人気の少ない廊下を選んで歩いているとプラチナ・ブロンドを見つけた。


「ハイ、ドラコ」


私を見るなりゲッという顔になる。
せっかくの可愛い顔が台無しだと思うのだ。
シャロンに言ったら顔だけはね、と苦笑いしていたけれど。
警戒する目をしているという事はまだ知らないのだろうか。
私がマグル出身だなんて直ぐ解りそうなものだけど。


「今日は一人じゃないのね」

「名字、何が目的だ?」

「目的?あぁ、そうね。トリック・オア・トリート!」


ドラコに向かって片手を差し出すとぽかんと口を開けてその手を見つめる。
此処で笑ってしまってはドラコは拗ねてしまう。
ただ顔が整っているだけに幼いその顔はとっても可愛い。


「お菓子用意してないの?」

「どうして僕が用意しなきゃいけないんだ」

「じゃあ悪戯だわ」


何をしようか考えていた訳じゃないけれど咄嗟に思いついてドラコに抱きつく。
ドラコはバタバタと抵抗しているけれどギュッと抱き締める。
勿論、私を止めようとした後ろの二人を魔法で阻みながら。
あまり長い時間はいけないだろうとドラコを離すとその顔は見事に真っ赤だった。


「なっ、なな、何をするんだ!」

「何って、悪戯?」

「そんな事を聞いているんじゃない!」

「そんな可愛い顔で怒っても恐くないわよ。はい、私からキャラメル」


ドラコの手に三つキャラメルを乗せると顔が真っ赤なまま歩いていく。
キャラメルを突き返されなかった事に満足して私は次の授業へと急いだ。




わざわざ人が一人座れる間を空けている双子の頭にそれぞれキャラメルを置いてからそこへ座る。
二人はそれぞれキャラメルを手に取って抱き付いてきた。
慣れているので殆ど気にせずオレンジジュースを引き寄せる。
それに気付いたフレッドがオレンジジュースを注いでくれてジョージがお皿に手を伸ばす。

その時クィレル先生が勢い良く大広間に駆け込んで来たと思ったらトロールの侵入を告げた。
大広間は大混乱でフレッドとジョージは私に抱き付く。
ダンブルドア先生の指示で寮に戻る間も決して離そうとはしなかった。
シャロンがフレッドと手を繋いでいたのは不思議だったけれど。


談話室に食事が運ばれ、皆トロールの事を話しながらもパーティーを楽しんでいる。
フレッドとジョージが取り分けてくれた食べながらあの三人が居ない事に気付いた。
もしかしたらはぐれたのかもしれない。
慌てて談話室の入り口まで行くと三人が立っている。
何かを言い合ってにっこり笑った三人を纏めて抱き締めた。


「名前、苦しいよ」

「無事で良かったわ。三人とも怪我はない?」


三人を離すと三人とも頷いた事にホッと息を吐く。
もう一度三人纏めて抱き締めると今度は後ろから二人抱き付いてきた。




(20121009)
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