一年生は飛行訓練だと朝からハーマイオニーがピリピリしていた。
自分の時の事を思い出して大丈夫だと伝えたけれど、和らいではいないように見える。
もう頑張れとしか言えず、同じようにネビルも励ました。


全て授業が終わり、賑やかな廊下が静かになった頃廊下に出る。
するとワッと両側から抱きつかれて満足気な顔が見えた。


「貴方達、私に何か目印でも付けてるの?」

「まさか。もっと素敵な方法さ」

「困ってたらいつでも助けられるよ」


相変わらず教えてくれる気は無いらしい。
二人は夕食の為に大広間へ向かう私に着いてくる。
人の波が過ぎ去った廊下は静かで二人の話す声が響く。
相槌を打っていると廊下の前の方に人影を見つけた。


「ねえ、あれウッドじゃない?」

「本当だ。小躍りしてる」

「何かあったのか?」


二人の声が聞こえたのかとてもご機嫌で近付いてくる。
フレッドとジョージの肩を順番に叩いて私の肩を叩こうとするのをフレッドが止めた。


「最高のシーカーだ!今年は我々がいただいたぞ!ポッターがシーカーだ!」

「え?」

「ハリーが?」

「おっと、まだ秘密にしてくれよ?名字、君がグリフィンドールで良かった」


じゃあな、と再びご機嫌で歩き出したウッドを見送って私達は顔を見合わせる。
ハリー、シーカー、と単語を繰り返してそれから三人で驚きの声を上げた。




大広間に入るとハリーを見つけた二人に引き摺られて近付く。
会話をし出した二人を放っておいてロンの隣に座る。
ミートパイを取ってオレンジジュースを注ぐとジョージが近付いてきた。


「名前、僕達またちょっと行ってくるから、戻ってくるまで待っててよ」

「嫌よ。私課題あるの」

「じゃあ談話室で」

「それなら良いわよ」

「絶対だよ!また後でね!」


急いで去っていく二人を見送ってミートパイをかじる。
すると代わりに気だるそうな気取った話し方が聞こえてきた。
嫌みな言葉が聞こえてスリザリンの生徒だろうと気にせずに咀嚼する。
マルフォイという名前が聞こえて記憶を探った。
確か前に読んだ本にマルフォイという名前があった気がする。
という事は純血で、そういう思想の持ち主という事だ。


「リナ、見つけたわ。大広間に居たのね」

「あら、シャロン。ハリーの事は聞いた?」

「聞いたわ。シーカーだなんて凄いわよね」


シャロンはキドニーパイをかじってから顔を顰める。
パイが不味いのかと思ったけれどそうではないらしい。


「マルフォイだわ」

「あぁ、さっきハリーと話してたみたいよ」

「ハリーと?」


何か考え出したシャロンの言葉を待ちながらパイを食べる。
けれど、シャロンの口から出てきたのはハリーのシーカーの話だった。
チャーリーと仲が良かったシャロンはハリーに期待と不安を抱いているらしい。
確かにチャーリーは私が見ても素晴らしいシーカーだった。
ドラゴンの研究をしなければナショナルチームに入っていたと言われる程。
話を聞きながら何気なく大広間の扉を見るとあのプラチナ・ブロンドの子が出て行くのが見えた。




(20121007)
78
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -