談話室に入ると隅の方でハーマイオニーとネビルがレポートをやっていた。
近寄って座るとそれに気付いたハーマイオニーがパッと顔を上げる。
会うのはホグワーツ特急以来だったけれどハーマイオニーは覚えていたらしい。


「あの時は有難う御座いました」

「良いのよ。私力になれなかったし」


自己紹介をするとハーマイオニーの顔付きが変わった。
何だろうと思って話を聞くとどうやらパーシーから私が優秀だと聞いたらしい。
そういえばパーシーはハーマイオニーを優秀だと褒めていた。
確かにチラリと見えるハーマイオニーのレポートはみっちり書かれている。


「ハーマイオニーは勉強が好き?」

「はい」

「あ、気楽に喋って良いのよ。ネビルもね」


ポカンとしていたネビルが頷いて、ハーマイオニーも嬉しそうに頷いた。
私も課題をやろうと教科書を取り出して広げる。
レポートを再開したハーマイオニーとネビルの質問に答えながら羽根ペンを動かす。
けれどハーマイオニーはパーシーが言う通り頭が良いのだろう。
レポートもあっという間に仕上がっていて凄いと思うばかり。


「あ、名前。見つけた!」

「あら、ロン。ハリーも、こんばんは」

「聞きたい事が…あ」


ロンはハーマイオニーを見ると口を閉じる。
ハーマイオニーは凄い早さで荷物を纏めると女子寮に上がっていった。
慌てた私はロンを振り返るとふて腐れた顔をしている。


「ハーマイオニーと仲が悪いの?」

「そういう訳じゃ…」


ごにょごにょと口の中で何かを言うロンを座らせると隣にハリーも座った。
ハリーにも聞いてみると同じような反応を見せる。
二人揃って言いにくいのなら仕方ないか、と私は息を吐く。


「聞きたい事って?」

「あ、課題教えて欲しいんだ。変身術なんだけど」

「良いわよ。ハリーも?」

「あ、うん」


三人の課題を手伝いながら自分の課題も進める。
そして思い出したのは去年チャーリーが言っていた言葉。
フレッドとジョージは居ないけれどその通りになった。
多分課題を終えた頃に二人は来るのだろう。
新学期が始まってまだ一週目だったけれど談話室であまり見かけなかった。


「名前、これで良いかな」

「うん、大丈夫。忘れないうちに出して来た方が良いわ」

「そうするよ。有難う」


ネビルが立ち上がったのをロンが口を開けたまま眺める。
ハリーがロンをつついて我に返ったらしくまた羽根ペンを動かし始めた。
そういえばあのプラチナ・ブロンドの子は一年生だ。
ロンとハリーに聞けば名前やどういう子か解るかもしれない。
けれど、レポートの邪魔をしたくはないし。
それにあの子はスリザリンだから仲が悪い可能性も否めない。
完成した自分のレポートを丸めながらぐるぐる考える。
スリザリンと仲が悪いのはきっと仕方のない事。
私が一人足掻いたところできっとどうにもならないだろう。


「名前?」

「え?あ、ごめん。何?」

「これは?」


不思議そうな顔をしながらも質問したハリーに答えを教えながら、とりあえず保留にしようと決めた。




(20121006)
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