ビルに薬を飲まされてすっかり眠り込んでしまった私はベッドを占領してしまった事に気付いた。
ビルは魔法で出したのかソファーで寝ていてそれを見てとても申し訳なくなる。
すっかり熱も下がりすっきりした体でベッドから降りるとずり落ちているビルの毛布を直す。
そのまま静かに床に座り込んでビルの寝顔を眺める。
好きになった頃のビルよりも大人っぽく見えるのは学生じゃないからだろうか。


起こさないように部屋を出ようと立ち上がると手を掴まれる。
慌ててビルを見るとバッチリ目が開いていた。
聞き慣れない寝起きの声で名前を呼ばれてドキッとする。


「治った?」

「うん、もう大丈夫」


起き上がったビルは目を擦ってから優しく笑う。
顔が赤くなるのを感じて空いている方の手で頬を押さえた。
立ち上がったビルは伸びをしてそのまま私の手を引く。
引かれるままにキッチンに降りていくとモリーさんがアーサーさんを送り出したところだった。


「あら、おはよう。名前体調は?」

「あ、もう大丈夫です」

「良かった。朝ご飯は食べられそうかしら?」

「はい」


モリーさんはにっこり笑って私とビルの分を用意し始める。
その間にビルが紅茶を淹れてくれてそれを飲みながら時計を見た。
なんとなく予想はしていたけれど早い時間で、まだ皆さ寝ているようだ。
そう考えるともしかしたらビルを起こしてしまったのかもしれない。
重ね重ね、ビルに迷惑を掛けてしまった気がして気分が落ち込む。


「そうだわ。せっかく早起きしたのだから買い物に行ってきて欲しいんだけど、良いかしら」

「ダイアゴン横丁?」

「ええ、そうね」

「良いよ。名前も来る?」


ビルに尋ねられて頷くとモリーさんは嬉しそうに羊皮紙を手に取った。
落ち込んだ気分だったのに今は楽しみで仕方がない。
大好きな相手に誘われているのだからそうなるのは当たり前だと思う。




何軒目かのお店を出た所でリストをチェックする。
恐らく買い忘れは無いだろうとビルを見上げるとビルも頷いた。


「重くない?やっぱり私も持つわ」

「大丈夫。あとは、チェシャー達の餌かな」

「うん」


時期が時期だけに混んでいるからと片手はビルと繋がっている。
身長から考えればもう子供ではないしもう四年生。
けれど、ビルと手を繋げるのなら断る理由はなかった。
繋がっている手に良い気分で歩いていると見知った顔が見える。
軽く手を引くとビルも気付いたようで二人で近付いた。


「ハイ、ハグリッド」

「おぉ!ビルに名前じゃねえか」

「ハグリッド、顔が真っ青よ」

「トロッコに乗ったからな」


トロッコ?と首を傾げる私にビルがグリンゴッツだと教えてくれる。
グリンゴッツに金庫が無いのでトロッコに乗った事が無いけれど、ハグリッドの様子を見る限り凄そうだった。


「ハグリッドがグリンゴッツに用事なんて珍しいね」

「ホグワーツの用事でな。お前さん達は、デートか?」

「お使いだよ。今名前は家に来てるから」


納得したハグリッドとビルは少し会話をして別れる。
デートだなんて言われてそんな風に見られる事が嬉しい。
相変わらず繋がっている手を嬉しく思う。


梟フードを買ってお店から出ると再びリストをチェックする。
二人で確認して買い忘れが無いので大丈夫だろう。
また差し出された手を握って漏れ鍋へ歩き出した時、ブロンドが目に入った。
隣には綺麗な銀髪の男の人が居て間にはプラチナブロンド。
太陽の光に当たってキラキラととても綺麗で思わず足が止まった。


「名前?どうしたの?」


手が繋がっているので当然ビルも気付いたようで、私はビルへと顔を向ける。
綺麗な髪色が、と言ってもう一度ビルと其方を見たけれど三人は居なかった。




(20121005)
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