フレッドとジョージに誘われた私はロンも誘って隠れ穴の近くを散歩していた。
ロンがホグワーツの事をフレッドに色々聞きながら歩くのを眺めながらジョージと並んで歩く。
組み分けはトロールと戦うんだと嘘を言ったフレッドは此方を向いてウインクを一つ。
すっかり青ざめてしまったロンに本当の事を伝えようとしたけれどジョージに口を塞がれた。


「入学までの楽しみだよ」

「だからってロンをからかうのは感心しないわ」

「お願い名前。黙ってて?」


こてん、と首を傾げたジョージに渋々頷くと抱きつかれる。
その瞬間にあれ?と思ったのはいつもよりジョージの体温が低く感じた事。
けれどすぐに聞こえてきたロンの悲鳴にそんな考えは吹っ飛んでしまった。
慌ててロンを見るとどうやらフレッドが何かを仕掛けてロンを驚かせたらしい。
ロンに危害を加えている訳ではないし、眺めるだけにする。


「ジョージ、ちょっと休憩しない?」

「え?名前、疲れた?」

「うん、少し」

「じゃあ、もう少し行った先に大きな木があるんだ。其処まで行こう」


気遣ったのかジョージが私の手を取って歩き出す。
やっぱりいつもよりジョージの手は冷たく感じる。
大きな木が見えて来て導かれるままに木に凭れかかった。
少し離れた所でフレッドとロンがキャッチボールをしている。
ボールではなくて何処かから持ち出した木の実だけど。
ジョージが二人に言ってくると走るのをぼんやり眺める。




目を開けると天井が見えてあれ?と思った。
隠れ穴の近くを三人と散歩していて、私は休憩していた筈。
それなのに此処は多分隠れ穴でジニーの部屋ではなくビルの部屋。
首を捻ると本を読んでいるビルが見えて思わず毛布を引き上げる。
それに気付いたビルが本を閉じて此方を向いた。


「気分は?」


尋ねながらビルが私の額に手を当てて複雑そうな顔をする。
ビルの手が冷たく感じてなんとなく私の体温がきっと高いのだと思った。


「ジョージが大慌てで名前を背負って戻ってきたから驚いたよ」

「ジョージが?」

「うん。フレッドとロンも心配してたけどね」


幾ら男の子だと言っても私の方が身長が高い。
背負ってと言ったって意識のない人間を運ぶのは大変だっただろう。
ビルが頭を撫でて部屋を出て行くのを眺めてから息を吐く。
熱があるなんて全く気付かなかった。


「名前」

「入って良い?」


声がしたドアの方を見ると廊下から同じ顔が此方を見ている。
頷いた私にそっと入ってきた二人はベッド脇に座り込んだ。


「大丈夫?」

「大丈夫よ。ごめんね、心配掛けて」


ふるふる、と首を横に振るフレッドは笑顔に戻った。
私の手を握るジョージに目を移すと眉が下がりきっている。
握られている手に力を込めるとピクリと眉が動く。
ジョージの手が冷たいと思っていたのに今は暖かい。
私の手がそれ程熱いのか、それともずっと握っていたからか。
空いている手で頭を撫でると俯いてしまった。
フレッドはそんなジョージの背中を叩いて部屋から出て行く。


「ジョージ?」

「気付けなくてごめん」

「大丈夫よ。それより運んでくれて有難う。重かったでしょ?」


首を横に振ってまだ情けない顔をするジョージは優しいと思った。




(20121005)
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