仕事に向かうアーサーさんとビルをモリーさんと見送って私はソファーに座る。
煙突飛行とは便利だなぁと改めてしみじみ思う。
ビルなんてエジプトまで行くのだからやっぱり魔法は凄い。
しみじみと思っているとロンとジニーが降りてきた。
ジニーは私に抱き付いてきたけれどロンはそっぽを向く。
ジニーを抱えたまま私はキッチンまで行き、ロンの隣に座る。
モリーさんが出してくれた朝食に手を伸ばす二人にオレンジジュースを差し出す。


「有難う名前」

「どう致しまして」

「ロン、貴方もお礼を言うべきだわ」

「う、煩いなぁ」


反対側を向いてしまったロンに尚も催促しようとしたジニーを止める。
相変わらずロンに苦手意識を持たれているらしい。
どうしようかなぁと考えているとフレッドとジョージが座った。
同じように朝食を食べ始めた二人の髪の毛は鏡合わせかのように跳ねている。
チャーリー、パーシーも降りてきて一気に賑やかくなったキッチン。
モリーさんが淹れてくれた紅茶を飲みながら食事をする皆を眺める。
昨日気付いたけれど、チャーリーの紅茶の入れ方はモリーさん譲りらしい。
モリーさんの紅茶もとても美味しくて素直に伝えたら感激して抱き締められた。


バサバサと音がして梟が窓から入ってくる。
チェシャーの姿は無く、代わりにキリッとした梟。
手紙を沢山持っていて私はそれを纏めて受け取った。
パーシー、フレッド、ジョージ、私、最後はロン。
配り終えて手紙を取り出すと新学期のお知らせだった。
ロンは隣で固まっていて代わりにモリーさんが開けている。


「ロンにもホグワーツから手紙が届いたわ!直ぐにお父様にお知らせしなきゃ!」

「辞めてよママ」


モリーさんはロンを目一杯抱き締めてからアーサーさんに手紙を書き始めた。
ロンにおめでとうと言うと本当に小さな声で有難うと返事がくる。
それを見たフレッドとジョージがロンをからかおうとしたけれど、私が止めた。
その時パーシーが何かバッチを持っているのに気が付いたモリーさんはこれでもかと言う位にパーシーを抱き締める。
あのバッチは私にも見覚えのある監督生バッチ。


「パースが監督生だなんて」


信じられないと言う声を出したフレッドにジョージが思い切り頷いていた。




そうと決まればという訳ではないけれど早速ダイアゴン横丁へと来た私達は二つに別れている。
今年はチャーリーが付き添ってくれて回る私にフレッドとジョージも着いてきた。
ビルに検知不可拡大呪文をかけて貰った鞄に次々と買った物を入れていく。


「こんなところだな。ちょっと休憩するか」


チャーリーの提案に嬉々として歩き出した双子の後を追う。
カフェに入ってそれぞれ好きな物を注文して一息付く。
私の分は構わないけれどフレッドとジョージの分は重いのだ。


「チャーリー、僕等行きたい店があるんだけど」

「どうせ悪戯道具だろ?時間通りに戻って来いよ」


フレッドとジョージは満面の笑みで頷いてお店を出て行く。
勿論自分達が頼んだアイスクリームをしっかり持って。


「名前は行きたいところあるか?荷物なら見てるぞ」

「私は大丈夫」

「遠慮すんなよ?」


そう言ってつつかれた額を押さえながらもう一度大丈夫だと告げる。
買いたい物は買ったし、それにゆっくりチャーリーとお茶出来るのだ。
それならチャーリーとのんびり過ごす方が良い。




(20121005)
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