翌朝、フレッドとジョージは荷作りで大騒ぎでチャーリーはただ笑ってみているだけ。
シャロンが何処かから借りてきたカメラで写真を撮っているのを眺めながらチェシャーを撫でる。
チェシャーがホーと鳴いてシャロンを見つめたのを見て私は立ち上がった。


「シャロン、カメラ貸して」

「はい、良いわよ」


シャロンから借りたカメラを持ってチャーリーを引っ張ってくる。
不思議そうな顔をしている二人にカメラを向けるとシャッターを押す。
慌てた二人に今度は笑ってと声をかけてからにする。
今度はパーシーも引っ張って来て三人。
次は、と思った所で後ろからカメラを奪われる。


「写真撮るなら僕等も混ぜてよ」

「フレッドが撮るの?」

「まさか」


ウインクをしたフレッドは机の上に何かを組み立てて皆に並ぶように言う。
何かを仕掛けたと思ったら私の横まで走ってきた。
時限装置だと嬉しそうに話すフレッドはまた装置へと走っていく。




大広間に向かう途中、私はしっかりとピンク色の髪を見つけた。
声を掛けて近寄ると気付いてくれたトンクスはにっこり笑う。


「トンクス、卒業おめでとう」

「有難う。私闇払いの訓練を受ける事になったよ」

「本当?おめでとう」

「名前が卒業したら、絶対また会おう。それまでに立派な闇払いになってるからさ」

「勿論よ!」


トンクスにギュッと抱き付いてお別れを告げる。
グリフィンドールのテーブルに戻るとチャーリーが頭を撫でてくれた。




汽車の中ではいつものように皆でコンパートメントを占領する。
チャーリーとシャロンは話し込んでいてフレッドとジョージは私の両隣。
パーシーはやっぱりいつものように煩いからと出て行ってしまった。
最後なのだと思うと少し寂しいけれどビルの時とはやはり違う。


「気持ちの問題かしら」

「何が?」


ジョージが反応したのに否定の意味を込めて首を横に振った。
それでもジッと私を見続けるジョージの頭を撫でる。
来年は此処にロンが加わるのだろうか。
それならそれで少しだけ楽しみだ。


シャロンとホームで別れ、マグル界に戻るとアーサーさんとモリーさんの姿が目に入る。
駆け寄ってきたジニーを受け止めると最後に会った時より大きくなっていた。
ロンはアーサーさんの隣でチラチラ周りを見渡している。
モリーさんはチャーリー達への挨拶で忙しいのでアーサーさんに先に挨拶に向かう。


「やあ、名前。また背が伸びたかな?」

「はい。少しだけ」

「名前、お帰りなさい。また背が伸びたのね。綺麗になったわ」


アーサーさんの横から現れたモリーさんに思い切り抱き締められ、ただいまとお礼を言うのが精一杯だった。
それを見ていたらしくフレッドとジョージが騒ぎ出すけれど、モリーさんの一言で静かになる。
さすがはフレッドとジョージの母親。
感心していると後ろから肩をつつかれた。


「ビルと迎えに行くから、待ってろよ」

「うん、待ってるわ」

「でも名前はビルだけの方が良いか?」


ニヤリと笑うチャーリーに殴ろうとすれば大きな手に受け止められる。
本気ではないのでお互いに痛みは無く、笑い合う。


「チャーリー」

「ん?」

「卒業おめでとう」

「有難う」


そう言って笑ったチャーリーは向日葵のようだった。




(20120924)
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