グリフィンドール塔に向かっている途中、赤毛が目に入った。
パーシーと誰かが話しながら歩いている。
誰かと歩いているのなんて今まであまり見なかったので自然と頬が緩む。
誰だろう、と見ていたらそういえばフレッドとジョージと話しているのを見た事がある気がする。
チャーリーの顔も浮かんできたからクィディッチチームで見たのだろう。
記憶を探っていたら後ろから二度衝撃が来た。
踏ん張って倒れないようにしながら両側を見れば同じニコニコ顔。


「フレッド、ジョージ、パーシーと居るのは誰かしら?」

「パーシー?」

「あ、あれオリバーじゃないか」


オリバーという名前を聞いてクィディッチチームのゴールキーパーだと思い出す。
そういえば彼はパーシーと同学年だった。
チャーリーがシャロンとの会話で褒めていた気がする。


「パーシーと仲が良いのかしら」

「さあ、どうかな」

「あ、フレッド、逃げるぞ。オリバーが」


言い終わるか終わらないかでオリバー・ウッドはフレッドとジョージを追いかけていった。
小さくなる三人の背中からパーシーに視線を戻すとパーシーと目が合う。
小走りで近寄るとパーシーは眉間に皺を寄せたまま三人が走り去った方を見ていた。


「パーシー、ウッドと仲良いの?」

「仲が良い訳じゃない。クィディッチの事を聞かされていただけだ」


なんだ、と心の中で思うだけに留める。
けれどパーシーはウッドの事は嫌っていないと思う。
ただ私の勘という確証の持てない事だけれど。
いつかパーシーとウッドが並んで課題をやっていたら良い。


「名前、近代魔法史は読んだかい?」

「あ、まだなの。なかなか時間が取れなくて」

「そうか…なるべく早く読む事をオススメするよ。何と言ってもハリー・ポッターの事が載っているからね」


ハリー?ポッター?と首を傾げた私にパーシーは一瞬知らないなんてと言う顔をした。
けれど私がマグル出身という事を思い出したのか咳払いをしてすまないと呟く。
パーシーの反応からすると多分魔法界では有名な人なのだろう。


「凄い魔法使いなの?」

「ある意味では凄いと言えるかな。とにかく本を読めば解るよ」


説明をしてくれる気は無いらしく、パーシーは話題を打ち切ってしまった。
魔法界で有名ならばビルに聞いてみよう。
部屋に戻って手紙を書いてチェシャーの帰りを待てば良い。




立てた計画通り手紙を書いてチェシャーの帰りを待つ間、近代魔法史を開く。
ゆっくり読みたかったけれど、今はパラパラと捲って目当てのページを探す。
後半で見つけたページにはハリー・ポッターとヴォルデモートという名前があった。


コンコン、と窓を叩く音に本から顔を上げるとチェシャーが此方を見ている。
運んできたビルからの手紙を受け取って梟フードを渡す。
その間にビルからの手紙を読んで返事を書き直して直ぐにチェシャーに頼む。
嫌な顔せずに運んでくれるのはきっとチェシャーがビルを好きだからだ。
ウィーズリー家に居る時もビルには特別愛想が良い。
自分を買ったのがビルだとちゃんと覚えているからだろう。


「名前、部屋に居たのね?」

「あ、シャロン」

「チャーリーが紅茶淹れてくれるわ。行きましょう?」


頷いて立ち上がるとシャロンに手を引かれた。
シャロンの手は暖かい。




(20120916)
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