「名前、ちょっと良いか?」


図書館でいつものように本を探しているとチャーリーの顔が覗いた。
必要な本を借りる間だけ待って貰って一緒に図書館を出る。
冷たい風が吹き抜ける廊下は暖かい図書館から出た身体を容赦なく冷やす。
空いている片手でマフラーを巻こうとしていたらチャーリーが巻いてくれた。


「掲示板見たか?ホグズミードの」

「見たわよ。今度の土曜日よね」

「一緒に行かないか?シャロンも一緒に」

「喜んで。シャロンに伝えておくわ」


ふとこの間のクィディッチの試合の時の事を思い出す。
普段から仲が良いしチャーリーとシャロンは選択科目が全く一緒。
抱き付くシャロンを受け止めていたチャーリー。
もしかして私はお邪魔なのではないだろうか。


「私も行っても良いの?」

「え?」

「もしお邪魔なら私パーシーと行くわよ」

「何言って…名前、もしかして何か勘違いしてないか?」


チャーリーは困ったように笑って頬を掻く。
立ち止まったチャーリーに倣って私も足を止める。
あーと言いながら言葉を探すチャーリー。


「シャロンとはそういう関係じゃないよ。確かに気が合うけど、妹みたいなもんだ」

「そうなの?」

「うん」


妹という言葉に私はビルを思い出す。
考えなかった訳では無いけれど、ビルにとって私はきっと妹みたいな物だろう。
まだまだ私は幼くて大人なビルとの差は大きい。
いきなりくしゃくしゃと頭を撫でる大きな手。
顔を上げるとチャーリーが微笑んでいた。


「あくまでも俺の場合は、だ。そんな顔すんな?」

「うん。有難うチャーリー」


談話室に戻り、シャロンにホグズミードの事とチャーリーとの事を話すと有り得ないと一蹴されてしまった。
私が見てる分にはお似合いだと思うのだけど本人達は全くその気が無いらしい。




グリフィンドールカラーのマフラーを巻きつけてチャーリーとシャロンと歩く。
さっきまで散々フレッドとジョージに引き留められていた。
彼等の同級生のアンジェリーナが二人を引き剥がしてくれなかったら恐らくまだ捕まっていただろう。
助けてくれたアンジェリーナに何かお土産を買おうと決めた。
シャロンとチャーリーがクィディッチの話をしているのを聞きながら歩くのは一歩後ろ。
並ぶ二人を見ているとやっぱりお似合いで羨ましくなる。
ビルと来たかったなんて考えてしまうのだから贅沢だ。


「名前、ハニーデュークス行くぞ」

「ハニーデュークス?」

「お菓子屋さんよ。きっと名前も好きになるわ」


頷いてシャロンの手を取ってチャーリーの後を着いていく。
話はホグズミードの事になっていて初めて行く私には初めて聞く事ばかりだった。




(20120901)
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