十月も半分を過ぎると殆ど毎日が雨で、皆城に籠もりきりだった。
そんな中でもクィディッチの練習を辞める事は無いらしい。
廊下をびしょ濡れで歩く他寮の生徒を何度か見かけた。
明らかに辞めておけば良いのにという天候でも。


それはグリフィンドールも同じようで、初めて見た時は言葉が出なかった。
それからは時間に余裕がある時はタオルを用意して待っていたり魔法で服を乾かしたりしている。
因みに一番最初にタオルを用意した時は感極まったフレッドに抱き付かれ、私までびしょ濡れになった。
チャーリーが慌ててタオルで拭いてくれて無事だったけれど、それ以降抱き付かれる事はない。
ジョージに聞いた話ではチャーリーにそれはそれは丁寧に怒られたようだった。


クィディッチの練習で疲れると課題をやらなくなるのがフレッドとジョージ。
私は相変わらず談話室で課題をやる事が多く、一緒にやる!と意気込んでいるのだけどそのうちにすっかり夢の中。
今もソファーでこっくりしている二人をチラチラと見ながら溜息を吐いた。


「フレッド、ジョージ、この課題明日提出なんでしょ?」

「あぁ…うん」

「少しだけ、少しだけだから」

「そう言って起きないじゃない」


そんな事を言っている間にも二人の瞼は閉じてしまい、二回目の溜息。
仕方が無いので杖を振って二人に毛布をかけると自分のレポートに向かい合う。
あとはこの数占いのレポートさえ終われば全ての課題が終わる。
寝てしまった二人の反対側ではチャーリーが目を擦りながらレポートを書いていた。


「チャーリー、字が滅茶苦茶よ?」

「あぁ…しまった。紅茶でも淹れるか」


慌ててチャーリーは杖を振ってインクを吸い取るとティーセットを呼び出す。
チャーリーが紅茶を淹れ始めたのを見てフレッドとジョージを揺すってみるけれど全く反応無し。
この二人は眠ってしまうとなかなか起きない。


「放っておけよ。ほら、名前の分」

「有難う」


受け取って、紅茶を一口。
チャーリーの淹れる紅茶はやっぱり美味しい。
チャーリーは紅茶を飲んで目を擦る。
クィディッチキャプテンに加えて監督生に今年はN.E.W.Tだった。
課題も多く、最近では談話室で課題をやるのはチャーリーが一緒の事が多い。
教科書を膝の上に置いてページを捲りながら紅茶を飲む。


レポートの締め括りの文章を書き終えて教科書を閉じた。
すっかり冷めてしまった紅茶を飲み干してフレッドとジョージを見る。
ぐっすり眠ってしまっていて二人のレポートはタイトルしか書かれていない。
近くにあったフレッドの教科書を取り羊皮紙の切れ端にメモをする。
去年やったレポートなので纏めるのに時間はかからなかった。
充分にメモを取ってから教科書を置いてその上に羊皮紙を置く。


「名前、偶には放っておけば良いんだぞ」

「そうは思うんだけど」

「こいつらに甘いよな、名前」

「ふふ、来年はロンも同じような事になってたりして」

「…否定は出来ないな」


呟きながら羽根ペンを置いたチャーリーは教科書を閉じた。
私は杖を振って二人分のレポートのインクを乾かすと自分の分を丸める。
チャーリーも同じように丸めてからフレッドとジョージを揺すり始めた。
全く反応無く眠り続けているフレッドと眉を寄せるジョージ。
試しにジョージを呼んでみるとパッと目が開いた。


「何…チャーリー?名前?朝?」

「バーカ。まだ夜だ」


チャーリーに引っ張られて体を起こしたジョージの目はとろんとしている。
けれど白紙のレポートが目に入ったのか顔が嫌そうに歪む。
未だ起きないフレッドをチャーリーが起こしているので私はジョージの隣に移動し、さっきのメモを渡した。


「これ名前が書いたの?」

「そうよ。これを書けば良いから、終わらせちゃいましょう?」

「有難う名前」


不意にジョージの唇が頬に触れて驚きに固まる。
ニッと笑ってジョージはレポートを書き始めた。




(20120901)
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