大広間に入るといきなりシャロンに体当たりをするように抱きつかれた。
それに負けじとくっつこうとした双子にパーシーが怒鳴り、新学期早々注目の的。
シャロンと双子、それにパーシーが言い合いをしている間にこっそりチャーリーの隣に座った。


「元気だよな、あいつ等」

「元気過ぎるのも問題よね」

「まあな」


チャーリーが席に着けと声をかけるとまだ空いている唯一の私の隣にフレッドが座る。
その横にジョージが座り、シャロンとパーシーは向かい側に座った。
フレッドとジョージを見てパーシーが何か言いたそうにしている。
けれど口を開く前に新入生が入ってきて結局パーシーは真一文字に口を閉じたままだった。




「最後かぁ」


組み分けが終わり、ご馳走を前にチャーリーがポツリと言う。
賑やかな大広間でその呟きは私にしか聞こえなかったらしい。
双子はチキンを食べる事に忙しくパーシーはシャロンに選択科目の事を話していた。
私が見ている事に気付いたチャーリーはにこっと笑う。


「まあ、まだ今から一年あるからな」

「チャーリー」

「ん?」

「最後の年は、寂しい?」


私の質問にチャーリーは曖昧に笑うだけ。
頭を撫でて自分のお皿にチキンを取り分け始める。
私も料理を取り分けていつものようにオレンジジュースを注ぐ。
パーシーの話に耳を傾けながらポテトを食べているとポツリとチャーリーが言う。


「寂しくはないかな。名前もシャロンも、皆居るしな」

「私も入ってるのね」

「そりゃあな。ちゃんと名前を見てなきゃビルに怒られるからな」


悪戯に言うチャーリーとお互いに笑った。
するとフレッドとジョージがなんだなんだと首を伸ばしてくる。
チャーリーは答える気が無いようで涼しい顔でチキンを口に運ぶ。


「名前を独り占めなんて幾らチャーリーでも狡いぞ!」

「僕等だって名前と話したいんだ!」

「あら、そんなの私だって」


また言い合いを始めそうな三人を放っておく事に決めてサラダに手を伸ばす。
案の定言い合いが始まって聞くともなしに聞く。
チャーリーも言ったけれど本当に元気。
結局ダンブルドア先生のお話が始まるまで言い合いを続けていた。


「名前、良い事教えてやるよ」


それぞれの寮の生徒が立ち上がる中チャーリーが口を開く。
シャロンの後に続こうとしていた私は慌てて足を止めた。


「ビルから貰ったプレゼントあるだろ?」

「うん」

「あれ、ビルが作ったんだ」

「え?でもチェシャーが届けてくれたわよ?」

「エジプトに忘れたから届けて貰ったんだ」


言葉の出ない私の腕を引き始め後ろを着いて歩く。
部屋にまだチェシャーが居てくれますように。




(20120828)
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