「名前ー!」
「遊ぼうよ!」
「お前等ノックぐらいしろよ」
飛び込んできたフレッドとジョージに溜息を吐くチャーリー。
何を間違ったのか突然やってきたフレッドとジョージとチャーリーに連れられて隠れ穴に来て三日目。
課題をやると言ったチャーリーの部屋で私はビルに借りた呪文集を読んでいた。
検知不可拡大呪文のページを読んでいたのに双子の声に驚いて頭から消えていく。
両隣に座るフレッドとジョージの顔を交互に見ると同じようにニコニコしている。
「私本を読んでるのよ」
「じゃあ僕等は見てるよ」
「読みづらいじゃない」
「じゃあ遊ぼう」
ニコニコ顔の二人に私は諦めて本を置いた。
チャーリーが苦笑いするのに手を振って連れてこられたのは二人の部屋。
去年入った時よりも散らかっていて更に火薬の匂いもする。
「何か作ってるの?」
「名前には教えてあげるよ」
「まだ試作品なんだ。でも上手くいくと思う」
そう言ってフレッドが出したのは小さなボール。
渡されたので受け取るとそれはポンと音を立てて出て来たのは花だった。
「これ二人が作ったの?」
「そうさ。試しに作っただけで完成じゃないんだ」
「これはマグルの手品を参考にしたのさ」
ジョージが私に向かってウインクをする。
あの時見せてくれた手品の事だろう。
フレッドが不思議そうな顔をするのを見てジョージがケラケラと笑った。
「魔法が使えないから捗らなさそうね」
「そうなんだよ」
「あ、名前それ危ない」
「え?」
何気なく手に取った羊皮紙は姿を変えて私の指に巻きつく。
痛みも何もなかったけれど、羊皮紙を取ろうと思っても取れない。
フレッドとジョージは大慌てで私の手を掴んでチャーリーの部屋まで走る。
再び現れた私達にチャーリーは首を傾げた。
「チャーリー!大変なんだ!」
「名前の手に羊皮紙が!」
「は?」
訳が解らないと言った顔をしたチャーリーの目の前に私の手が差し出される。
必死な顔をしているのはフレッドとジョージでチャーリーは眉を寄せた。
「お前等ママに怒られるぞ」
「ママだけなら良いよ」
「ビルにバレたら僕達殺されちゃう!」
いきなり出たビルの名前と内容に首を傾げながら私は自分の指に視線を落とす。
相変わらず羊皮紙は巻きついたままでチャーリーがじっくり観察している。
痛くない事だけ伝えるとチャーリーは杖を振って色々試し始めた。
不意に部屋の扉が開いて覗いた顔にフレッドとジョージが顔を強ばらせる。
チャーリーはしまったという顔をして私は嬉しさで顔が緩む。
「皆此処に居たのかい」
「お帰りなさいビル」
「ただいま名前。手をどうかした?」
羊皮紙が巻きついたままの私の指を見たビルはその場の三人を順番に見て杖を振った。
あっさりと羊皮紙は剥がれて巻きついていた部分は何ともない。
ビルが近付いて指を確認する間にコソコソとフレッドとジョージが抜け出そうとしていた。
けれどドアが勝手に閉まり、その後ビルのお説教が始まる。
チャーリーに手を引かれるままに部屋を出た私の背後にはビルの声。
(20120828)
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