「僕は暇じゃない!何か用事があるなら早く言え!」


階段を降りていたら大声が聞こえてきてぼんやりとしていた意識があっという間にはっきりとした。
この声は間違いなくパーシーで、多分殆ど高確率で相手はフレッドとジョージ。
階段を降りきるとやはりパーシーとフレッドとジョージが居て、皆の注目の的になっていた。
フレッドとジョージが私に気付き名前を呼ぶ。
という事は自然に私に皆の注意が向くわけで、何処かへ隠れたい。


「名前、パーシーだよ」


駆け寄ってきたフレッドの言葉が理解出来ずに首を傾げる。
その後ろから近付くジョージと手を引かれるパーシー。
そのまま私の目の前に突き出されたパーシーにとりあえず挨拶をしてみる。


「名前、僕等ちゃんと見つけたよ」

「ん?」

「昨日パーシーを探してたじゃないか」

「だから僕等見つけたのさ」


つまりは昨日私が探していたからパーシーを見つけて足止めをしていたという事らしい。
恐らくはパーシーに何も伝えていないのだろう。
そりゃパーシーだってあんな大声も出したくなる筈だ。


「ええと…有難う、フレッド、ジョージ。待たせてしまってごめんなさい、パーシー」

「いや、僕は…構わない」


俯いてしまったパーシーの後ろでフレッドとジョージがニヤニヤしている。
パーシーだけを朝食に誘い、歩き出すと大慌てで着いてきた。
そんな二人にパーシーは眉を寄せているけれど気にしない事に決めたらしい。


「何か用があったのか?」

「用って程じゃないの。ただ、昨日言った事気にしてるんじゃないかと思って」

「あぁ、その事か…僕なりに、その、少し考えてみようと思う」


顔が真っ赤になり、声も小さくなっていったけれど確かに聞こえた。
嬉しくなって、笑顔を向けると益々顔が赤くなり案の定双子がからかい始める。
結局大広間まで言い合いは続き、パーシーは遠くの席に座った。
何度もある事とはいえ溜息を吐きながらオレンジジュースを注ぐ。


「名前、僕等と朝食は嫌?」

「僕等は名前とが良いよ」

「嫌じゃないわよ。パーシーも一緒だったらもっと良かったわ」


黙ってしまった二人の頭を撫でてトーストにジャムを塗る。
ぎゅっと二人に抱きつかれてももう邪魔にならない。
家では一緒に食べているからきっと一緒に食べる事は出来ると思うのだけれど。
うんうん考えていたらいつの間にかチャーリーが目の前でベーコンを食べていた。


「おはよう、チャーリー」

「おはよう。やっと気付いたか」


そう言って笑ったチャーリーに安心感を覚える。
四つ違うだけで頼りになるのは流石七人兄弟の次男。
私に引っ付いていた双子もチャーリーに言われて離れた。
私が言っても離れてくれないからとても助かる。


「チャーリーはやっぱりお兄ちゃんね」

「ん?何が?」


首を傾げるチャーリーに曖昧に答えて一人納得。
不思議そうなチャーリーに上手く説明出来るようになったら話そう。
今はなんだか上手く伝えられない気がするから。




(20120825)
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