イースターが近くなったある日、三年生の選択授業についてのお話があった。
詳しくはイースターに解るとマクゴナガル先生が言って教室を出て行く。
一斉に皆が喋り出す中、私はビルからの手紙を思い出していた。
そんな事があってあっという間にやってきたイースター休暇。
私はトーストをかじりながら一覧を眺めていた。
「名前」
「ハイ、パーシー」
「此処、良いかい?」
向かい側を指差しながら言うパーシーに頷く。
パーシーはコーンフレークをお皿に取り分けながら選択授業の一覧を見ている。
「何を取るか決まっているのかい?」
「決まってるわ。ビルに相談したの」
「そうか…もしまだ悩むなら、僕がと思ったんだけど」
「有難うパーシー」
しゅんとしたパーシーにお礼を言うと、にっこり笑った。
パーシーは大分表情豊かになったと思う。
双子に言わせれば堅物らしいのだけど。
それでも出会った頃に比べるとよく笑う。
その変化はビルやチャーリーも気付いたらしくクリスマス休暇の時に話していた。
「私、今のパーシーの方が好きだわ」
「え?」
「お勉強ばっかりじゃ駄目よ」
私の言葉にきょとんとしてしまったパーシーが面白くて思わず笑ってしまう。
パーシーはただしきりに首を傾げている。
やはり今の彼の方が魅力的だと思うのだ。
「楽しそうだな」
「ハイ、チャーリー」
ドサッと私の横に座ったチャーリーはコーンフレークに手を伸ばす。
パーシーはチャーリーの登場にすっかり表情が元に戻ってしまっている。
勿体無いなぁと見つめているとぷいっと顔を逸らされてしまった。
オレンジジュースを注ぎながらもチラチラ見ていたら食べ終えたパーシーが立ち上がる。
顔を真っ赤にして眉に寄った皺のまま大広間の外へ消えていった。
「あーあ、拗ねちゃったわ」
「なんだ、名前もパーシーからかってるのか?」
「違うわよ。パーシーに本当の事言っただけよ」
「本当の事?」
首を傾げるチャーリーを放っておいてオレンジジュースを飲み干す。
チャーリーに手を振るとパーシーの行きそうな場所を思い浮かべる。
図書館か、談話室か、悩んで私は図書館へと向かう。
けれど、外れだったらしく図書館で出会ったのは双子だった。
「パーシー見なかった?」
大声を上げそうになった双子の口を押さえてから聞くと二人揃って苦い顔をする。
これは想像通りの反応なので特に気にしない。
口を押さえていた私の両手は二人にガッチリと掴まれる。
一学年違うとはいえ力が強くてやっぱり男の子だ。
「名前はパーシーが好き?」
「好きよ」
「男として?」
「え?」
真剣な顔で聞かれて笑いたくなるのをグッと堪える。
なんだかよく解らないけれど二人にとって大事な事らしい。
「あのね、私はフレッドもジョージもパーシーも同じように好きよ」
「ちっとも変わらないの?」
「パーシーと全く一緒?」
「そうね」
「つまんない!」
頬を膨らませてそっぽを向いてしまったフレッド。
ジョージはただ私の顔をジッと見つめている。
(20120819)
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