クリスマス休暇が平和に終わり、ビルと夏休みに会う約束をした。
日常生活はあっという間に戻り、課題に向かい合っている。


図書館で見つけた呪文集を捲っているといきなり爆発音がした。
寮の隅で黒焦げになった双子にパーシー。
何事かと思っていると周りはお腹を抱えて笑っている。
シャロンも笑っていて呪文集を見ていた私は置いてきぼり。


「フレッドとジョージが羽根ペンを爆発させちゃったのよ」


シャロンの言葉に改めてそちらを見るとパーシーが怒りながら羽根ペンを戻していた。
双子と目が合うと思い切り手を振られて思わず呪文集で顔を隠す。
チャーリーの笑い声がしたので羽根ペンを飛ばして擽る。
笑いながらチャーリーは羽根ペンを掴もうと必死。


「辞めろ、名前」

「チャーリーが笑うからよ」


擽ったそうなチャーリーを無視をして呪文集を捲る。
チャーリーならこの呪文をどうにかするのなんて簡単な筈。
案の定私の羽根ペンは机に置かれている。
そこにパーシーがやってきてチャーリーの隣に荒々しく座った。


「全くあの二人は!」

「落ち着けパース」

「危うく僕のレポートが燃えるところだったんだ!」


殆ど叫んでいるパーシーを宥めようとしたチャーリーだけれど、諦めたらしく肩を竦める。
尚も双子の事で何かを言っている声を聞きながら私はちょうど見つけた呪文を唱えた。
パーシーは思い直したようににこやかになりレポートの続きをやり始める。
正直成功するなんて思わず、チャーリーも驚いた顔。


「名前、それ三年生で習う呪文だぞ」

「載ってたの。上手くいくなんて思わなかったわ」

「さすがお姫様!」

「パースを黙らせるなんてママ以外には名前だけだよ!」

「有難う、フレッド、ジョージ」


機嫌の良くなったパーシーを見て近寄ってきた双子は私の隣に座る。
正しくはフレッドが隣でフレッドの隣にジョージだけれど。
驚いたのは効き目が強かったのかパーシーが双子に笑いかけた事。
これにはチャーリーを始め双子も驚いてパーシーを見つめていた。


呪文集を再び最初のページを開くと羊皮紙に幾つか書き留めていく。
それをフレッドとジョージがずっと眺めている。
顔を上げるとにっこりと笑顔を向けられた。
二人の視線は気にしない事にして私は羽根ペンを動かす。


「よく気にならないな」

「え?何、チャーリー」

「フレッドとジョージだよ」


チャーリーが羽根ペンでフレッドとジョージを指した。
邪魔じゃないか?と言うチャーリーに首を振る。
確かに最初は気になっていたけれど、これはいつもの事。
隠れ穴でビルに勉強を教えて貰っている時も二人は隣に居た。


「覗き込んで、学んでくれたら良いんだけどな」

「勿論さチャーリー」

「名前が先生ならね」


チャーリーの言葉にニヤニヤ笑いながら二人が言う。
すると効き目が切れたらしいパーシーが煩い!と怒鳴って部屋へ戻っていった。




(20120812)
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