ビルから貰ったブックカバーをお気に入りの本にかける。
深い紅色と黒のチェックのとても可愛い。
クリスマスプレゼントの中で一番嬉しかったもの。
すっかりプレゼントを開ける事に夢中な皆を余所に私は一人本を抱えている。
パーシーは恐らく双子からであろうプレゼントを開けて髪の毛が爆発していた。
お腹を抱えて笑い転げる双子にモリーさんのお説教が飛ぶ。


「おはよう名前」

「おはようビル」

「プレゼント、気に入った?」

「とっても。一番嬉しいわ」


良かったと笑ってビルは隣に座る。
手には私からのプレゼントを持っていた。
案の定悩みに悩んで決めたそれはブックカバー。
まさかお互いに同じ物だとは思わなかった。
ビルが私の手元を見てクスクスと笑う。


「考える事が一緒だったね」

「うん」

「そろそろ父さんが喜ぶ頃だよ」


ビルが指差した先にアーサーさんが居てその手は私のプレゼントを開けていた。
中身を見るなり喜びの声が上がり、皆がアーサーさんの方を見る。
そんな中名前を呼ばれた私も一気に注目の的になってしまった。
アーサーさんは童話集を手に近寄ってくると私の手を握りぶんぶんと振る。


「名前!最高のプレゼントだ!これは魚人姫かな?とにかく素晴らしい!」

「あ、あの、喜んでいただけて良かったです」

「人魚姫だよ、父さん」


未だ振られていた私の手を止めながらビルが言う。
アーサーさんは嬉しそうにモリーさんに見せている。
モリーさんはにっこり笑ってはいたけれど読んでくれるだろうか。


「名前!雪だるま作ろう!」

「ビルも!」


双子に引かれて立ち上がると隣でビルも立ち上がっていた。
ビルがくすくす笑うのを見てジニーも加わり皆で外に出る。


ジニーと雪玉を転がしていると大きくなった双子の雪玉がぶつかった。
雪玉は割れてジニーに雪が降りかかるのを見てビルが駆け寄る。
ジニーはすっかり機嫌を損ねてしまい、双子を睨む。
可愛い子が睨むと大抵は可愛いのだけれどジニーは恐い。
ビルが杖を振ってジニーの服を乾かしながら双子に注意している。


「ジニー、これ。大きくはないけど」

「小さくて可愛い!有難う名前」


小さい雪だるまを渡すとジニーは喜んで顔を作ってくれた。
機嫌が直った事に安堵したらしく双子はまた雪玉を転がし始める。
それを眺める事にした私達はビルが用意してくれた椅子に座った。


「名前、こっち向いて」

「え?」

「やっぱり濡れてる。名前も雪を被ったんだから乾かさないと」


ビルが服を乾かしてくれるのをジニーはとても綺麗に笑いながら見ている。
なんだか恥ずかしくて誤魔化すように逸らした視線の先では双子が雪玉を投げ合っていた。




(20120812)
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