ビルへの誕生日プレゼントは悩みに悩んでアルバムを選び、カードと共に送った。
小さくなる影を眺めていたら後ろから沢山の梟の鳴き声が聞こえてくる。
振り返るとピンク色の髪が目に入った。


「誰か居るの?」

「ハイ、トンクス」

「名前!久しぶりだね。元気?」


私の顔を見る度にトンクスの顔はぱぁっと明るくなる。
気付けばトンクスの髪の毛が赤色になっていた。
驚いて見つめていると気付いたトンクスは見ててと髪の毛がピンクに戻る。


「凄いわ!」

「生まれつきなんだ。七変化だよ」

「七変化?」

「長さだって自由自在」


言った通りトンクスの髪はどんどん伸びて行き腰までの長さになった。
凄い!とただそれしか言葉が出なくて繰り返す私にトンクスはニコニコと笑う。
すっかり元の長さに戻ったトンクスの髪は相変わらずピンク色だ。


「さて、手紙も出したし私は行くよ。またね名前」

「うん」


トンクスに手を振って私も寮に戻ろうと梟小屋を出る。
レポートも終わっているし、図書館でも寄ろうかと考えていると後ろから声をかけられた。
振り向くと緑とシルバーのネクタイが見える。顔を見て去年の事を思い出す。
私にぶつかってきたスリザリン生だ。


「今日は一人か?」


ニヤニヤ笑いながら言う相手を無視して歩くと更に声をかけられる。
それでも無視していると後ろを歩きながらボディーガードは居ないのか?と言った。
思わず立ち止まった私に気を良くしたのかニヤリと意地悪く笑う。


「守って貰って、良い身分だな?穢れた血に血を裏切る者か」


私は何をどうしたか解らないけれど気付いたら相手は気絶していた。
ウィーズリー家を、特にビルを悪く言われるのは我慢出来ない。
頭に血が昇ったままの私に取り巻きが杖を向ける。
一緒に何かを言うつもりなら口を開けないようにしてやろうと私も杖を構えた。


「お前達、寮に帰れ!」


チャーリーが飛び出して私の前に立ったと思ったらバタバタとスリザリン生が逃げていく。
そして私を振り返ってチャーリーは険しい顔をする。


「名前、あんな事しちゃ駄目だ。失神呪文なんて…なんであんな事」

「だって、あいつはチャーリー達を、ビルを馬鹿にしたわ」

「それは…そうだな。でも、手を出しちゃ駄目だ」


怒っているチャーリーに私はぎゅっと拳を握って俯く。
だって、私の大好きな人達を悪く言うなんて許せないのだ。
頭に大きな手が乗り、いつもより優しく優しく撫でる。
恐る恐る顔を上げるとさっきまでと違って笑っているチャーリー。


「怒ってくれた事は嬉しい。有難う」

「うん…ごめんなさいチャーリー」

「うん」

「名前!最高だ!」

「素敵だよ!」


いきなり聞こえた声と体に襲いかかる衝撃によろけながらも倒れなかったのは左右から抱き締められているからだろう。
チャーリーが慌てて二人をひきはがそうとするけれど上手くいかない。


「僕等見てたのさ!名前は凄かった!」

「名前、無言呪文が使えるなんてどうして言ってくれなかったんだ」


フレッドとジョージの言葉に驚いたのは私とチャーリー。




(20120728)
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