じっくりと読んでからビルの手紙を鞄にしっかりしまう。
ビルとは週に二回位やりとりをしていて、マメだとシャロンにからかわれた事がある。
チャーリーは何も言わずただ笑って頭を撫でただけだった。
「ビルからの手紙か?」
「うん。フレッドとジョージが何かやってないかって心配してるみたい」
「あー…あいつ等なぁ」
チャーリーは苦々しく笑ってチラッと双子の方を見る。
最近仲良くなったらしいドレッドヘアーの男の子と三人で何か話し込んでいた。
相変わらず度々悪戯をしているらしくあちこちから名前を聞く。
「でも、ビルは仕方無いって笑うと思うぜ?」
「私もそう思う」
「大体がパースかフィルチ相手だからな」
チャーリーの言葉に頷きながらオレンジジュースに手を伸ばす。
シャロンが慌ただしく大広間に入ってくるのが見えて声をかける。
慌てていたシャロンにオレンジジュースを差し出すと抱き締められた。
「どうしたの?」
「今日はクィディッチチームの選抜でしょ?だからチャーリーを探してたのよ!」
「なんだ、シャロン参加するのか?」
「参加しないわ。だって私はシーカーになりたいのよ」
勝てる訳無いわ!と人差し指を突き出して言ったシャロンにチャーリーはケラケラと笑い出す。
ツボに入ったのか笑いが止まらないらしく、お腹を抱えてまで笑っている。
それでもシャロンが放った呪いを跳ね返すのだからチャーリーは凄い。
三人でクィディッチ競技場に向かい、途中でチャーリーと別れる。
何人もの人が緊張や自信に満ちた顔で歩いていく。
シャロンと並んで座るといつ来たのかフレッドとジョージが私達を挟んで座った。
「参加出来れば良いんだけど。なあ、フレッド」
「そうだなぁ。まあ、来年さ」
「来年参加するの?」
「クィディッチは最高さ」
「僕もフレッドも良い選手になれる」
ニヤリと二人が笑ったと同時に選抜が始まって皆黙り込む。
チャーリーはこの人数の中から選ばなければならないから大変だろう。
私には詳しい技術的な事は解らないけれど、人によって動きが違って面白い。
選抜が終わるとシャロンは一目散にチャーリーの元へ走っていく。
きっと箒で競技場を飛びたいのだろう。
戻ると言えば二人がすかさず左右に立つ。
「早く来年にならないかなー」
「あぁ、本当に。早くクィディッチやりたいな」
「二人が選手になったら応援するわ」
「なるさ!」
ご機嫌な二人のクィディッチの話を聞きながら城に戻る。
悪戯の時と変わらずキラキラと二人の顔は輝いていた。
(20120726)
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