朝から上を下への大騒ぎを眺めながら紅茶を飲むビルの隣で私も同じように紅茶を飲んでいた。
モリーさんはしきりにあれは入れたこれは入れたと聞いていてパーシーは本を詰め込むのに必死。
そういえばパーシーの部屋に結局行っていないなぁと思い出す。
私の側になんだかんだ理由を付けて双子が居たし、とにかくビルとジニーと一緒に過ごしていた。




ホグワーツ特急に無事に荷物を乗せて順番にウィーズリー夫妻に挨拶を済ませる。
また来てね、とモリーさんがにっこり笑うのに私も自然と笑顔になった。
ホグワーツ特急を眺めるビルの横に並ぶと私に視線を移す。
ビルの顔を見るとなんだか寂しくなってきて誤魔化すように笑う。


「今年は課題を見てあげられないね」

「うん」

「でも、名前なら優秀だからきっと大丈夫だね」


優しく笑って頭を撫でるビルの手。
その手を握って言葉を探すけれど何も浮かばない。
結局手紙を書くとだけ伝えて出発間近の汽車に飛び乗る。
双子に挟まれてホームの皆が見えなくなるまで手を振った。


チャーリーが監督生用のコンパートメントに行ってしまい、四人で座る。
何故か双子は私を挟んで座り、黙ったら息が止まるという勢いで話しっぱなし。
遂にパーシーの怒りが爆発して別のコンパートメントへと立ち去っていった。


「パースはカルシウムが足りないな」

「あぁ、全くだ」


溜息を吐いて双子の間から先程までパーシーが座っていた場所に移動する。
すると二人はいつかのようににっこり笑ってどっちがフレッドだゲームを始めた。
結局あれから答えを教えて貰っていない。
自信満々にニヤニヤ笑う二人。


「右がフレッド。左がジョージ」


そう告げると二人は顔を見合わせて真顔になった。
ちょうど入ってきたチャーリーが声をかけると二人は笑顔になってやはり飛びついてくる。
狭かったので移動したのにまた私は二人の間。


「名前、どうして僕がフレッドだって解るの?」

「ママだって僕等を間違えるのに!」

「あぁ、それは俺も気になってた」


夏休みの間私は当たり外れを教えて貰えないまま二人をちゃんと名前で呼んでいた。
二人を見分けるのはとても簡単な事。
ジョージには首に黒子があってフレッドには無い。
声は一緒のようでジョージの方が少し低いし、目はジョージの方が垂れ目だ。
そう告げると三人は目をこれでもかと丸くする。
なんだか面白くて、ビルに手紙で教えようと思った。


「でも、名前初日から僕がフレッドだって解ってたよね?」

「名乗って貰ったもの」

「だから、僕がフレッドのフリしてもバレたのか」


ジョージの言葉に頷くとまた二人に抱きつかれる。
チャーリーはそんな私達を見ておかしそうに笑っていた。




(20120721)
30
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -