翌朝届いたホグワーツのリストを握り締めてもう片手にパウダーを握り締めていた。
ビルが見せてくれたお手本をしっかり思い出しながら私はなるべくハッキリ発音する。
ぐるぐると回っている感覚が気持ち悪くて止まっても暫くそのままでいた。
ビルの声がして無事に着いた事に安心して息を吐く。
皆が現れて、先ずはグリンゴッツへと向かう。
グリンゴッツは二回目だけれどやっぱり苦手で、ビルが一緒に来てくれなければ両替が出来るか危うかった。
小鬼は何故だか苦手意識がついて離れない。


買い物は二手に別れる事になり、私達と行きたいと騒いだ挙げ句引き摺られていった双子に手を振った。
ビルとアーサーさんが話しているのをぼんやり聞きながら少し遠くに見える梟を眺める。


「梟欲しいのか?」

「んー…少しね。学校に居る間は学校の梟にお願い出来るけど」

「ビルに手紙を出す為か」


小声で言うチャーリーに頷いて、でもと梟の事を頭から追いやった。
けれどリストをチェックして買い物をしながら私の頭の中で梟の事がぐるぐる回る。
いつの間にか目の前に差し出された手に驚いて私の足は急停止した。
顔を上げるとチャーリーが不思議そうな顔をして此方を見ている。


「ぶつかるぞ?」

「あ…有難うチャーリー」

「しっかり歩け」


ポンと私の頭を叩いてチャーリーは笑う。
気付けば私の荷物も持ってくれていて、ビルの方を指差す。
見ると手招きをしていて私はチャーリーにお礼を言ってビルの隣に並ぶ。


「ちょっと僕の買い物に付き合って欲しいんだ」

「ビルの買い物?」

「うん。行こう。離れちゃいけないからね」


差し出された手に少し躊躇ってから自分の手を重ねる。
隣に並んで不意にビルとの視線が近くなった事に気付いた。
その事に嬉しくなってこっそり緩む頬を隠す。
早く、ビルに追いつけるように大きくなりたい。


ビルに連れてこられたのはイーロップのふくろう百貨店だった。
中に入ると色々な梟が居て大きな目があちこちから見ている。
好きに見て良いよ、と言われて一羽ずつ梟を見ていく。
真っ白な梟や茶色の梟、大きさも様々で見ているだけで楽しい。
けれど、せっかく諦めようと思ったのに欲しくなってしまう。
やっぱりビルに手紙を出すのには自分の梟が居た方が便利なのだ。


「お待たせ、名前」


振り向くと鳥籠に入った梟を持ってビルはにっこり笑っていた。
そして先程と同じように手を繋いでダイアゴン横丁を歩き始める。
梟はとても大人しくて揺れる鳥籠の中で首を回していてとても可愛い。


「比較的小さくて、大人しい梟を貰ったんだ。これなら名前の家でも飼える」

「え?」

「名前にプレゼント」

「でも、そんな…梟なのよ」

「じゃあ、預かっておいて。手紙はこの子にお願いすると良い」


ね?と笑顔で言われてしまい、気付けば私は頷いていた。




(20120721)
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