夜になると帰ってきたアーサーさんに隣においでと言われ、ずっとマグルの生活について質問された。
アーサーさんとは逆の隣に座っているビルが苦笑いしながら止めてくれるまでアーサーさんの疑問は止まらない勢い。
ビルから聞いてはいたけれど、少し驚いてしまったのは事実だった。


片付けを手伝って約束通りパーシーの部屋に行こうと階段を登る。
見えてきたパーシーの部屋の前にはフレッドとジョージがニヤニヤしながら座っていた。


「やあ、名前。まさかパースに用事?」

「今は辞めた方が良いよ」


中からパーシーの騒ぐ声が聞こえてきて、二人の間から中を覗く。
何かよく解らないけれど部屋がとても散らかっている上に汚い。
パーシーが双子の名前を呼ぶのを聞いた二人に引っ張られてその場から離れる。
連れてこられたのはどうやら二人の部屋らしく、何かが爆発したような匂いがした。
促されてベッドに座った私の前に立った二人はニコニコと笑う。


「どっちがフレッドだ」

「僕がフレッドさ」

「いいや、僕がフレッドさ」


交互に名乗って相変わらずニコニコ笑う二人。
じっと眺めて左側がフレッドだと告げると二人の目が丸くなった。
と思えばまた二人に抱きつかれて支えてくれる人の居ない私はベッドに倒れ込む。
両側からぎゅうぎゅうと抱き締められて少し苦しい。


「当たり?外れ?」

「名前はどっちだと思う?」

「当たりだと思う?」

「答える気が無いのね」


交互に顔を見て言うと謎は謎のままに、なんて言って二人は離れた。
二人に腕を引かれて私も起き上がると同時にドアが開いてチャーリーの顔が覗く。
チャーリーは二人にママが呼んでる、と伝えて引っ込んだ。
二人は渋い顔をしながら立ち上がったので私も一緒に部屋から出る。
階段を降りていく二人を見送ってジニーの部屋へと向かう。
ジニーはもう眠っていて私は起こさないように本を手に部屋の外に出た。
下からモリーさんが双子に怒っている声がする。
きっとパーシーの部屋の事がバレたのだろう。
どうしようかと考えていたら上から名前を呼ばれて見上げるとビルが居た。


ビルの部屋にお邪魔して私は勧められた窓際の椅子に座り込む。
ふと机を見ると私が贈った写真立ての中で私とビルが笑っていた。


「それ、気に入ってるよ。あとは皆の写真と、家族の写真が入ってる」


にっこり笑うビルに良かったと私も笑い返す。
ベッドに座って本を読みだすビルに倣って本を開く。
キラキラ、とブックマーカーが揺れて光った。


偶にページを捲る音だけがする静かな部屋。
外の音が聞こえないという事はもしかしたらビルが何か魔法をかけたのかもしれない。
本からこっそりとビルの顔を覗き見る。
本を読んでいると思ったのにビルと目が合った。
微笑んだビルに心臓は騒ぎ出して私は本に目を戻す。




(20120718)
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