果樹園に着くとチャーリーが気付いて挨拶をしてくれる。
挨拶を返すときょとんとしている三人が目に入った。
名乗ると先に顔を輝かせた二人にいきなり抱きつかれる。
ビルが後ろから支えてくれて私は倒れずに済む。
前にも同じ様な事が何回かあったなぁ、とぼんやり思い出していたらステレオで名前を呼ばれた。


「僕はフレッド」

「僕はジョージ」

「そしてあそこで口を開けているのが」

「ロニィ坊やさ!」

「ロニィって言うなよ!」


テンポよく交互に発せられる言葉。
ロンよね、と話しかけ挨拶をすると顔を真っ赤にして俯いてしまった。
双子は私に抱きついたままロンをからかい始める。
チャーリーが気にする事なく私に向けて箒を持ち上げた。


「名前、ちょっと飛ばないか?」

「うん。あ、でも」

「行っておいで」


私から双子を引き剥がしながらビルが笑う。
頷いてチャーリーの後ろに乗って一気に空へと飛び上がる。
ウィーズリー家を見渡す事が出来てとても心地良い。
窓際に机があるらしく、パーシーが何か書いているのが見えた。


「あ、見て。ビルが手を振ってるわ」


下で大きく手を振るビルの横で双子は更に大きく手を振っている。
手を振り返していると前にいるチャーリーが笑い出した。
どうしたのかと問いかければチャーリーは息を整えながらも笑う。


「相変わらずビル大好きだな」

「そ、そうよ」

「名前が来るまでの間、フレッドとジョージは俺とビルを質問責めだ。ビルの部屋で写真を見てからな」

「写真?」


チャーリーがツーショットの、と付け足す。
そういえば一度だけチャーリーから手紙が来て写真が添えられていた。
最後の日の朝に撮ったビルとのツーショット。
チャーリーが言うには写真立てに入れてくれているらしい。
それだけで私は嬉しくて仕方が無いのだ。
小さくお礼を呟くと前でチャーリーが頷く。




箒から降りると私は皆に断って一度ジニーの部屋に行き、キッチンへと入った。
先程まで外に居た双子とロンがナイフでジャガイモの皮むきをしている。
双子は私を見ると全く同じ動きで笑って手を振った。


「モリーさん」

「あら、名前。どうしたの?」

「あの、これをお渡しするの忘れていて」


私を見てにっこり笑うモリーさんに袋を一つ差し出す。
不思議そうな顔をして受け取ったモリーさんより早く双子が覗き込む。
お母さんに渡されたお菓子の詰め合わせを見て双子が嬉しそうな声を上げた。
双子に注意をしてから私にむき直すモリーさん。


「そんな気を遣わなくても良かったのよ?でも、嬉しいわ。有難う」


喜んで貰えた事にホッとして私はロンの隣に座った。
先程からロンの手元はなんだか危ない。
ナイフを借りてお手本を見せると赤い顔でお礼を言われた。


「名前、僕達にも教えてよ!」

「ロニィだけ狡い!」

「フレッドとジョージは上手よ」


唇を尖らせる二人に笑いながらロンを手伝う。




(20120718)
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