次の日、写真を撮り終えるとパーシーはあっという間に城に戻ってしまった。
読みたい本があるから、という理由がパーシーらしい。
せっかくの試験終わりの晴れの日だからと四人でクァッフルを使ってキャッチボールをする事になった。
私は実際にクァッフルを触るのが初めてで、慣れるまではビルが付きっきりで教えてくれる。
チャーリーとシャロンの二人は流石に上手だった。


目一杯遊んで疲れた私は観客席に降りて三人が飛ぶのを眺める。
ビルが箒で飛ぶのを初めて見るけれど素直にかっこいいと思う。
気が付いたらビルを目で追っていて偶に慌てて視線を逸らす。
それでもやっぱりビルが観客席に降りてくるまで私の目は釘付けだった。


「あの二人はまだやるんだって」

「見てるだけで楽しいわ」


二人が飛ぶのはとても楽しそうで今はお互いにゴールの前でシュートしあっていた。
ビルと並んでそれを眺めているだけでとても幸せ。
横顔を見つめていたらビルが気付いて笑う。
私も笑顔で返すと退屈?だなんて気遣ってくれる。
ずっとこの時間が続けば良いと思う。
続かない事は充分に解っている。


「ビル、卒業したらどうするの?」

「グリンゴッツに勤めるんだ。エジプト支店だよ」

「エジプトに住むの?」

「うん、そうなるかな」


遠くなっちゃうけど、と少し寂しそうに笑う。
私は言葉が出なくてただただ自分の手を見つめる。
言葉を考えていたら不意に私は手が動くのを感じた。
気が付いたらビルのローブを掴んでいる私の手。
その手を見つめていたらビルの大きな手が重なる。
顔を上げると私の大好きな顔があって、心臓は煩く鳴りだす。


「一年ずっと居る訳じゃない。休暇には会えるし、手紙を書くよ」

「本当?」

「うん。約束するよ」


私も、と返事をするとビルが私の頬を軽く摘む。
笑い出したビルに私もつられて笑う。
今落ち込んでいたって仕方が無いのだ。




数日後、カスタードプディングを食べていると目の前に写真が差し出される。
顔を上げるとチャーリーがニコニコ笑っていた。
プディングを飲み込んでお礼を言うとチャーリーが隣に座る。


「よく撮れてる。俺のイチオシは二枚目だ」


二枚もあっただろうか、と写真を見ると確かに二枚あった。
一枚目は私も記憶にある皆で一緒に撮った写真。
私の横にビル、反対側にシャロン、チャーリーと並びパーシーはビルの隣。
皆笑っているのにパーシーだけは固い顔をしていた。
欲を言えばパーシーが笑顔だと良かったのだけど。


二枚目を見ようと一枚目をズラして私は驚きの余りチャーリーを見る。
チャーリーはニヤニヤ笑いながら私を見ていた。


「いつ撮ったの?」

「二人で笑ってる時」

「全然気付かなかった」


二枚目の写真は私とビルが並んで笑っている写真。
多分シャロンとチャーリーがシュートしあっている時だ。
二枚目の写真を一枚目でしっかり見えないようにする。
思いがけずツーショットを出されると心臓が騒いで仕方がない。


「ビルの分は無いんだ。もうすぐ来ると思うから隠しておけよ」


チャーリーはウインクをしてソーセージをかじる。
皆の写真をもう一度眺めてからローブのポケットに写真をしまった。




(20120711)
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