次に見えたのはかなり久しぶりに見るジョージの部屋。
ロンが驚いて私とジョージを見つめている。
「ハイ、ロン。久しぶり」
「あ、やあ名前。どうしたの?」
「フレッドの所で会ったの。来る予定はなかったんだけど。ね、ジョージ」
「…ロニィ、出掛けるんだろ?」
ロニィって言うなよ!と怒りながらもロンは時計を見て慌てて出て行く。
ハーマイオニーと聞こえたからきっと彼女と待ち合わせなのだろう。
フレッドもロンも、いつの間にか幸せになっていて、嬉しいばかりだ。
そんな事をぼんやりと考えていたら勢い良く腕を引かれてそのままバランスを崩す。
勢い良く倒れ込んだベッドに身体が沈み込む。
「名前、ごめん。何処も打ってない?」
「大丈夫よ。でも退いてくれたら嬉しいわ」
「うーん…無理」
私を見下ろしていたジョージは倒れ込むように私の上に乗った。
重たくて退かそうと身体を押していたら降りてくれたけれど、伸びてきた腕に抱き締められる。
「ちょっとジョージ」
「何もしないから」
「…してるじゃない」
ふふふ、と笑ったジョージは離してくれそうもない。
諦めて大人しくしていると火薬の匂いで一杯になる。
最近はあまり火薬の匂いがしなかったのだけど、またするようになった。
新商品と言っていたし、忙しく働いていたのもあるのだろう。
「名前、今何処に住んでるの?」
「グリモールド・プレイスよ」
「ああ、それでマンションに居なかったのか」
「言ってなかった?」
くるくると私の髪を指に巻き付けながら聞いていないと拗ねた声を出す。
ハリーは知っていたし、てっきりロンから聞いていると思っていた。
謝るとジョージは抱き締める力を強くする。
「ねえジョージ、どうして私なの?」
「…さあ、どうしてだろうね」
「何よそれ」
ふふふ、と笑い出したジョージはどうも答える気がないらしい。
初めて聞いてみたというのに、答えは貰えないようだ。
面白くないのでジョージの脇腹を擽ると背中に回った腕が離れたので起き上がる。
髪の毛を手櫛で軽く整えてベッドから立ち上がると写真が目に入った。
エジプトのビルの部屋でビルが撮った私の写真。
「これ、まだ持ってたの?」
「うん」
ジョージを振り返ると、夕焼けに照らされて髪の毛が真っ赤だった。
綺麗だな、と思いながら見ていたらジョージと目が合う。
「いつか教えてあげるよ」
そう言って笑ったジョージの顔はとても綺麗だった。
(20130324)
232