「あら、お邪魔しちゃったかしら?」


フレッドのお見舞いに聖マンゴに来たらアンジェリーナが居た。
正に二人だけの世界で私が病室に入った瞬間凄い勢いでフレッドが倒れ込む。
アンジェリーナお茶飲んでくると慌ただしく出て行った。


「ごめんね、タイミングが悪くて」

「大丈夫。アンジェリーナは照れてるだけだからさ」

「でも、いつの間に?」

「まだだよ。今口説いてるところ」

「あら、そうなの?」


嬉しそうに笑ったフレッドにお見舞いとして持ってきたクッキーを差し出す。
するとフレッドは直ぐに腕を伸ばして一気に三枚放り込む。
その手には白い包帯が巻かれていて、包帯のない所には傷があった。
私が見ている事に気付いてフレッドはへらりと笑って手を振ってみせる。


「時間は掛かるけどちゃんと消えるらしいぜ」

「そう、消えるなら良かった」

「大丈夫だって。それに残っても傷があった方が迫力も出るさ」


フレッドらしい台詞に自然と上がる口角。
傷があっても命があったのだから喜ぶべきだ。
またクッキーを放り込んで嬉しそうに笑う。
その姿が見られたのだから嬉しい事だ。


「名前は、あれからどうしてる?」

「相変わらず騎士団の手伝いをしてるわ」

「って事はまたグリモールド・プレイス?」

「そうよ。今はハリーも一緒なの」

「ハリーは元気?」

「訓練が大変みたい」


闇払いね、と言いながらまたクッキーを摘む。
ハリーは無事に闇祓い局に入る事が出来て、訓練が始まったばかり。
私とシリウスはヴォルデモートの騒動の後処理に追われていた。
と言っても大体は魔法省が片付けてくれるのでそんなに大変でもない。


「それが終わったらどうするの?」

「まだ決めてないわ。キングズリーに魔法省に来ないかって言われてはいるんだけど」

「まあ、名前は優秀だからな」

「有難いお誘いではあるんだけどね」


ふうん、と言ってクッキーを放り込んだフレッド。
紅茶でも用意しようと立ち上がると、腕を引かれた。
クッキーを咀嚼しながら私を見上げるフレッドに首を傾げる。
座るように促されたので素直に腰を下ろす。


「一度しか言わないよ。俺はね、名前は家族だと思ってる。だから、名前には幸せになって貰わなきゃ困る」

「フレッド」

「昔から名前は俺の大事なお姉さんだからな」


ジョージそっくりな綺麗な笑顔を浮かべたフレッドを思い切り抱き締める。
久しぶりに抱き締めたフレッドはいつの間にかとても大きくなっていた。
双子のジョージがそうなのだからフレッドも成長している事は解っている筈なのに。


「フレッドも幸せになるのよ?」

「うん…そろそろ時間かな」

「え?」


何が、と聞こうとしたのにそれより早く腕を引かれた。
離れて見えたフレッドの目は私の後ろを見ている。
そしてニヤニヤと面白そうに笑ってジョージの名前を呼んだ。
振り返るとムッとしているジョージがフレッドを睨み付けている。


「よう相棒、良い顔だな」

「…新商品のリスト持ってきた。見ておけよ」

「そんなに怒るなよジョージ」


どうしてそうなったのか解らないけれどハイタッチをして笑い出す。
首を傾げているとアンジェリーナが戻って来た。
ジョージの登場に驚きながらも私の顔を見ると苦笑い。
それが解らないらしいジョージは首を傾げた。


「さ、邪魔者は帰って帰って。俺は今から勝負しなきゃいけないんだ」


フレッドが私達に向かってひらひらと手を振る。
邪魔をしてはいけない、とジョージの手を引っ張った。
ジョージも察したらしく、素直に足を動かす。
きっとあの二人が恋人になるのは時間の問題だろう。
だって、昔から両想いだったのだから。


「名前、久しぶりだね」

「そうね。忙しいみたいだったけど、元気そうで安心したわ」

「ロニィが慣れないからな。早くフレッドが退院出来れば良いんだけど」

「ふふっ、そうね」


病院から出るとジョージが急に振り向いた。
驚いていると急に世界が歪んで聞こえたバシンという音。




(20130324)
231
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -