ベラトリックスはやはりとても強い。
ベラトリックスの呪文を防ぐだけで一杯一杯だった。
「防いでばかりで楽しいかい?」
馬鹿にするように高笑いをするベラトリックス。
私はベラトリックスの足元目掛けて杖を振り爆発を起こした。
一瞬ベラトリックスが目を見開いたのが見える。
土煙が消えた時にはもうベラトリックスの姿はなかった。
「名前!」
「ドーラ?どうして此処に」
「ああ良かった!無事だったのね!リーマスも!」
ドーラは私とリーマスを同時に抱き締める。
けれどそれも一瞬でサッと離れると杖を構えた。
リーマスは驚きで固まってしまっている。
「私だけ家で大人しくなんかしていられないわ!」
「あ、じゃあこれ、ドーラにあげるわ」
私がしていたミサンガをドーラの腕に結ぶ。
反論しようと口を開いたドーラを思い切り抱き締める。
力を込めて、気持ちが伝わるように。
ドーラから離れると私はシリウスの去った方へ走り出す。
ドーラと一緒なら、きっとリーマスは大丈夫だと言い聞かせて。
けれどあちこちから閃光が飛んできてなかなか進めない。
アーサーさんを狙っている死喰い人を倒して私はシリウスの名前を叫ぶ。
返事はなくて代わりに叫び返したのはアーサーさんだった。
「シリウスは向こうだ!」
「アーサーさん」
「名前、危ない!」
アーサーさんが飛び付いて倒れ込むと頭の上を緑の閃光が飛んでいく。
パッと立ち上がったアーサーさんは閃光を飛ばした死喰い人をあっという間に倒してしまった。
「アーサーさん、シリウスは向こうですか?」
「ああ、犬の姿だった」
軽く頭を下げてアーサーさんの指した方向へ向かう。
キングズリーが死喰い人を纏めて倒したのが見えた。
突然目の前に現れた死喰い人を何とか失神させる。
その時、いきなりヴォルデモートの声がとても近くで聞こえた。
今まで呪いを飛ばしていた死喰い人は動きを止め、歩き出す。
辺りを見渡すと何人か倒れている味方が居た。
歯を食いしばって私は前へと進む。
いつ傷がついたか解らないけれど、腕がざっくり切れている。
頬が濡れているからきっと出血しているのだろう。
軽く頬の血を拭って進み続けると、シリウスが現れた。
後ろにスネイプ先生が乗せられた担架が浮かんでいる。
「シリウス」
「名前、無事か?」
「私は大丈夫」
担架に近付くとスネイプ先生の首と手は血だらけだった。
確かめるようにスネイプ先生の手首に指を伸ばす。
「スネイプは大丈夫だ。何とか間に合った」
「…有難う、シリウス」
「泣くな」
自然と溢れてきた涙をシリウスの指が拭う。
早くスネイプ先生を城に運ばなければいけない。
自分の袖で涙を拭うとシリウスと歩き出した。
どうやらスネイプ先生が居たのは叫びの屋敷で、ヴォルデモートも居たらしい。
ロン、ハリー、ハーマイオニーもその場に居たようだ。
大広間に入るとやはり周りはスネイプ先生に厳しい目を向ける。
けれど、シリウスが気にせずに一気に進んだ為無事にマダム・ポンフリーの元へ連れて行く事が出来た。
マダム・ポンフリーは嫌々ながらもスネイプ先生の治療を始めてくれて、私は息を吐く。
負傷者を見るとリーマスと付き添っているドーラ、そして赤毛のグループが見えた。
恐る恐るウィーズリー家の皆に近付くと真ん中に居たのは傷だらけのフレッド。
あちこちに包帯を巻かれていて、顔には傷が沢山あった。
「名前!無事だったのか…良かった」
「ジョージ、名前も怪我してるよ」
私を思い切り抱き締めたジョージをビルが宥める。
ジョージはパッと離れると私の傷を見て真っ青になった。
「ビル、フレッドは?」
「怪我は酷いけど、大丈夫。生きてる」
「良かった」
「名前の方も、上手くいったみたいだね」
ビルがスネイプ先生の方をチラリと見る。
スネイプ先生はマダム・ポンフリーに包帯を巻かれていた。
それを眺めていたら腕を引かれて椅子に座らせられる。
ビルが頬の傷に薬を塗りながら溜息を吐いた。
「また顔に傷が出来たね。無事だったから良かったけど」
「大丈夫よ。ちゃんと消えるわ」
「そうだけど…ドラコなんだけどね、僕は見掛けなかったよ」
「あ…そっか。有難うビル」
ドラコの姿が見えない事に不安を覚える。
どうか、無事でいてくれますように。
(20130314)
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