ハリーとロンが戻って来て皆が大広間へと向かっていった。
残された部屋にはモリーさんとジニーの言い争いが響き、そしていきなり現れたパーシー。
場を和ませようとフラーがリーマスに話しかけても空気は全く変わらなかった。
何か解決策は無いかとシリウスを見上げると大丈夫だと呟く。
そしてシリウスの言う通りウィーズリー一家は和解した。
パーシーがフラーと握手をしたと思ったら真っ直ぐ此方へ歩いてくる。


「名前、君にも酷い事を言った。僕、新聞で君の名前を見てどうしようかと思って」

「パーシーは、昔と変わらず友達よ」

「…名前」


パーシーに抱きつくと、パーシーも抱き締め返してくれた。
やっと戻って来てくれた事で今はとても嬉しい。
パーシーから離れるとにっこりと笑ってくれた。
そして大広間に向かいながら私はビルに近付く。


「ビル」

「ん?」

「お願いがあるの。ドラコを見掛けたら守って欲しいの」

「ドラコは、死喰い人には攻撃されないと思うよ」

「うん、でも、危なかったらで良いの」

「…解ったよ。名前を助けてくれたしね」


ポン、とビルの手が私の頭に乗った。
その手を握って無理はしないで、といつも言われる台詞を言う。
すると全く同じ台詞がそのままビルから返ってきて顔を見合わせて笑った。
一瞬だけ、昔に戻ったような感覚に陥る。
ビルを想っていただけの幸せな日々に。




大広間は生徒が一杯で、皆壇上のマクゴナガル先生を見ていた。
スリザリンのテーブルを隅から隅まで見るけれどプラチナ・ブロンドは見当たらない。
ビルも同じようにドラコを探していたらしく、目が合うと首を横に振った。


戦う皆にミサンガを配りながらも自然と目はドラコを探す。
シリウスが手伝ってくれてそんなに時間はかからなかった。
明らかにキョロキョロしている私にシリウスが気付かない訳もなく。


「あいつはマルフォイだ。大丈夫だろ」

「そうだと良いんだけど」

「それよりスニベ…スネイプの方がやばいんじゃねえのか?」


シリウスの言葉に頷いて私は両頬を叩いて気合いを入れる。
沢山居る死喰い人の中からスネイプ先生を見つけなければならない。
死喰い人は皆黒いローブを着ていて見つけるのは難しいだろう。
ただ、この間スネイプ先生に渡したミサンガを付けていてくれたら話は別なのだけど。


皆と一緒に校庭に出ると沢山居る死喰い人に巨人が見えた。
杖を握り締めてリーマスのグループに加わる。
あの中にスネイプ先生が居るのだろうか。
遠くてまだ解らないけれど、あの中に居る筈だ。


「名前」

「何、リーマス」

「もし私に何かあったらドーラとテッドを頼むよ」

「…嫌よ。リーマスは生き残るのよ」


リーマスが目を見開いて此方を向く。
笑顔を見せるとリーマスは困ったように笑った。
そして、いきなり城全体が揺れてあちこちで大きな音が響く。
同時に死喰い人の足音と閃光が飛び始める。
城の守りが崩された事を知って、私達も走り出した。


死喰い人の中からスネイプ先生を見つける事は思った以上に難しい。
容赦なく飛んでくる閃光を避けて死喰い人を失神させるだけで精一杯だった。
シリウスも同じなようで、なかなか見つからない。
目の前の死喰い人を失神させた時、リーマスが押されているのが見えた。
ニヤニヤ笑いながら杖を振ったドロホフ目掛けて杖を振る。


「リーマス!」

「名前、助かったよ」


私の放った失神呪文がドロホフに命中した。
リーマスは顔の血を拭いながら息を吐いてドロホフを見下ろす。
傷はあるけれど、まだ動ける位の怪我なようだ。
ホッと息を吐くと目の前を緑の閃光が飛んでいく。


「久しぶりだねぇ小娘。今度は逃がさないよ。愛しい従兄弟様共々葬ってやろうじゃないか」

「…ベラトリックス。名前下がってろ」

「駄目。シリウスはスネイプ先生を見つけて。ベラトリックスは私が相手をする」

「名前!」


肩から掛けていた鞄を無理矢理シリウスに押し付けた。
シリウスならば犬になってスネイプ先生を見つける事が出来る。
お願い、と言うとシリウスは歯を食いしばった。
何か言いたそうにしながらも振り向き、黒い犬が走り去っていく。
それを確かめてから私はベラトリックスに向き直った。




(20130314)
226
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -