そろそろ帰ろうとジョージが立ち上がった時、バシンと音がしてフレッドとジニーが現れた。
フレッドは私の部屋を見回してしまったと顔を顰め、ジニーはパッと笑顔を浮かべる。
飛びついて来たジニーを受け止めながらフレッドを見ると、ガリオン金貨に向かって杖を振っていた。
「急いでたから名前の部屋に姿現ししちゃったよ。名前、急いで着替えて」
「何かあったの?」
「ハリーがホグワーツに戻ったのよ。名前が着替えるんだから出てって!」
私から離れるとジニーは二人を部屋から追い出す。
着替えて部屋から出るとシリウスとフレッドとジョージが話をしていた。
着替えながらジニーが話してくれた事と同じ話。
いよいよだという思いでシリウスを見ると重々しく頷いた。
鞄の中には今まで作ってきたミサンガや解毒薬が入っている。
「名前、俺は騎士団に知らせてくる。お前はどうする?」
「先にホグワーツに行くわ」
「解った。直ぐ行く」
頷くとシリウスは私の頭を撫でるとバシンと音を立てて消えた。
フレッドとジョージ、ジニーと手を繋いで私達も姿眩ましをする。
ホッグズ・ヘッドの前でリーとチョウ・チャンと合流して通路へと進む。
穴から登ると沢山のホグワーツ生とロン、ハリー、ハーマイオニーが居た。
ザッと部屋を見渡したけれど、一人もスリザリンの生徒が居ない。
ハリーやネビル、フレッド達が話しているのを聞きながら私は考える。
今は恐らくスネイプ先生は城内に居て会う事は出来るだろう。
けれど、今私は一人だし、もし死喰い人に見つかってしまえば都合が悪い。
ハリーとルーナが出て行くという言葉に一度思考を停止した。
その直ぐ後からロンとハーマイオニーが出て行く。
途端に騒がしくなる部屋を見ていたら軽く腕を引かれる。
いつの間にか隣に座っていたジョージが此方を見つめていた。
「何?」
「名前が、何かしようとしてるのは知ってる。シリウスは知ってるんだろ?」
「…うん」
「何かは聞かない。俺、戦いには負けない。頑張るよ。返事聞かなきゃいけないからな」
「ジョージっ!」
頬にキスをするとニヤッと悪戯な笑みを浮かべて生徒の輪へと戻る。
ジョージの唇が触れた場所を押さえて大きく息を吐く。
その時、物音がしてシリウスが現れた。
その後ろから現れるリーマス、ウィーズリー夫妻、フラー、そしてビル。
アンジェリーナやアリシア、ウッド、ケイティ、キングズリー。
私は立ち上がってまずリーマスの元へ走り思い切り飛び付いた。
「やあ名前、久しぶりだね。元気そうで安心したよ。手紙が来なかったからね」
「ごめんなさいリーマス。チェシャーが昨日帰ってきたの。ドーラは?赤ちゃんは?」
「テッドだよ。今はドーラと家に居る」
リーマスが見せてくれた写真の中で小さな男の子が手を振っている。
この子の未来の為にも頑張らなければ、と思わせてくれる写真。
勿論、この子達の為だけじゃなく、此処に居る皆も守りたい。
リーマスに写真を返すといきなり後ろから大きな手が頭に乗った。
「シリウス」
「ハリーは?」
「今はルーナとレイブンクローの談話室に行ってるわ」
「レイブンクローの談話室?」
「詳しくは知らないんだけど、レイブンクローの髪飾りを探してるみたい」
シリウスとリーマスが顔を見合わせて首を傾げる。
ヴォルデモートに関係するらしいと聞いて二人は益々解らないと首を捻った。
(20130314)
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