ジョージの目からなんとか逃げてハーマイオニーの手伝いを始めたら今度はシリウスが現れた。
確かに私は寝ているシリウスを置いてメモだけ残して隠れ穴に来たのだけど、何故不機嫌なのだろう。
一緒に飾りを作り始めたシリウスをチラチラとハーマイオニーが見ては私に不思議だという表情を向ける。
シリウスが不機嫌な理由なんて私が一番知りたい。


「シリウス、ハリーの所へ行けば?」

「今ハリーはアーサーと居る」


私が掛けた言葉に返ってきたのは低い声。
ハリーがアーサーさんの所に居るから機嫌が悪いのか。
けれど最近のシリウスはそんな事でこんな態度は取らない筈。
となると機嫌が悪いのは別の理由があるのだろう。
かと言って思い浮かばないのでどうしたものか。
するとハーマイオニーがいきなりリボンが足りないと立ち上がる。
まだまだリボンは沢山あるのだけど、気を遣わせてしまった。
と言うより、機嫌の悪いシリウスが嫌なのかもしれない。


「シリウス、何かあった?」

「…お前はどうして辛い方に進むんだ」

「え?」

「これ、ビルの結婚式の準備だぞ」


ジョージと全く同じ事を言うので開いた口が塞がらなかった。
シリウスはぶつぶつと文句を言いながらも飾りを仕上げていく。
ミサンガの時と同様、私のよりも出来映えが良い。


「心配してくれたの?」

「…」

「有難うシリウス。でも、やりたいの」

「…もし何かあったら無理矢理連れて帰るからな」

「大丈夫よ」


シリウスはまた暫くぶつぶつ言っていたけれどスッキリしたようだった。
戻って来たハーマイオニーがホッとしていたから間違いない。




結婚式の準備を手伝っていると毎日があっという間だった。
途中で何度もジョージに引っ張られたけれど、最終的には隣で手伝うという形に落ち着いたらしい。
私の隣に居ると進んで手伝ってくれるとモリーさんは大喜びだった。
ジョージが隣に居て良い事と言えば力仕事が任せられるという事。
魔法を使えば私でも問題ないのだけど、先にジョージがこなしてしまう。
帰ってきたチャーリーがそれを見てとても驚いていた。


「名前、紅茶飲むか?」

「飲む!」

「俺のは?」


私の後ろから顔を出したジョージにチャーリーは苦笑いを浮かべる。
チャーリーが淹れてくれた紅茶を久しぶりに目の前にして嬉しさが込み上げてきた。


「相変わらず美味しいわ」

「そりゃあ良かった」

「シャロンは元気?」

「ああ、元気だよ。休みが取れなかったから来れないけどな」


残念がってた、と言うチャーリーの言葉にシャロンの顔が浮かぶ。
今は手紙もなかなか出せないから、チャーリーに頼んでみようか。
チェシャーに頼んでも良いけれどいざという時に居ないと少し困るし。
そんな事を考えていたらチャーリーがそれより、と言うので耳を傾けた。


「ジョージはずっと名前にくっついてるのか?」

「そうだよ」

「くっつき虫なのよ」

「名前にしかくっつかないよ!」


そう言ったジョージにチャーリーは呆れたように笑う。




(20130219)
212
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -