隠れ穴に揃った皆にミサンガを配った。
ムーディ先生に言われてハリーに変装する皆は同じ色。
何があるか解らないから、備えるに越した事はない。
私はシリウスの箒の後ろに乗って皆と飛び立った。


ハリーの暮らしていた家に着くとシリウスが真っ先に抱き締めに行く。
ハリーがシリウスをしっかり抱き締め返すのを見て不思議な気持ちになった。
私にとっては友人で同居人だけど、ハリーにとってシリウスは保護者。
二人を眺めていたら両方から手を握られて左右を見れば同じような表情を浮かべたフレッドとジョージ。
両手を引かれて並んで歩くと後ろでドーラがクスクスと笑った。


私とシリウスの仕事はこの家に残って万が一現れた死喰い人の相手をする事。
七人になったハリーが着替えている間にシリウスと手順の確認を始めた。
私は変身術で髪の毛の長さを変えてハリーと同じ服を着ている。
皆がそれぞれ出発してからシリウスと共にこの家の庭で様子を窺う。
ポリジュース薬でなくても上空から見れば見間違える筈だ。
本物が遅れて出発すると相手が思ってくれればそれが一番。


着替え終わったハリー達を連れて皆が外に出る。
家の中からそれぞれ出発したのを見送ってから外へと向かう。
すると、上空で沢山の黒い影が皆を襲うのが見えた。
皆無事に隠れ穴で会えますように、と願わずにはいられない。
そして誰かが叫んだ事で黒い影は此方にも向かって来る。
飛んでくる呪いを交わしながら狙いを定めて失神呪文を放つ。
二人の死喰い人に当たり、道路へと転がった。
シリウスも失神呪文と盾の呪文を繰り出している。


交わしきれなかった呪いにミサンガが反応して死喰い人が飛んでいく。
役目を終えたミサンガが切れて道路へと落ちる。
飛んでいった死喰い人は呻いていて、全身を打ちつけたらしい。


「名前!」


シリウスが叫んで私はシリウスが持っている蝶ネクタイに触れた。
その瞬間ぐいっと引っ張られて死喰い人達が消える。
隠れ穴に到着するとモリーさんが慌ただしく出て来て私を抱き締めた。


「お帰りなさい。二人とも無事で良かったわ」

「モリー、死喰い人に襲われた」


シリウスの言葉にモリーさんの顔はみるみる青くなる。
そして私の腕にミサンガがないのを見つけた。
確かめるように私の頬を撫でると力なく微笑む。


「とりあえず、二人が無事で良かったわ。中に入って待ちましょう。到着まで時間があるわ」


モリーさんが淹れてくれた紅茶を飲みながら皆を待つ。
シリウスはソファーに座ってただ暖炉を見つめている。
私はビルとチャーリーに貰った時計から目が離せなかった。
時間になっても戻って来ない事に不安が増す。


「ハリー!」


いきなり立ち上がったシリウスが叫んで外へ飛び出していった。
外へ出るとハリーとハグリッドが居て私は不安を吐き出すように息を吐き出す。
次は確か、ジョージとリーマスが到着する筈。


時計を見ていると青い光の後にジョージとリーマスが現れた。
けれどジョージは血だらけでぐったりとしている。
家の中に運び込まれていくジョージを追いかける最中、心臓がとても煩かった。




(20130210)
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