時間を確認してシリウスと手を繋いで姿眩ましをした。
到着するとシリウスと一旦別れて私は一つの扉をノックする。
中から返事が返って来たのを確認してから扉を開く。
ドレスを着たトンクスが振り返ってにっこり笑った。


「おめでとうトンクス」

「有難う名前」


今日のトンクスの髪の毛はとても綺麗なブロンド。
白いドレスと合わさってとても綺麗。
嬉しそうに笑うだけで私も笑顔になれる。


「結婚するならトンクスじゃ駄目ね」

「私は別に構わないけど?でも名前がそう言うなら、ドーラって呼んで?」

「うん、解ったわドーラ」


にっこり笑ったドーラに抱き付いてもう一度おめでとうと言う。
返って来た声はやっぱりとても幸せそうだった。




ドレスローブを着ているリーマスと隣で微笑むドーラ。
そんな二人にカメラを向けてシャッターを切る。
満足してバタービールを飲みながら眺めていたら隣にシリウスが戻って来た。
私の提案で付けていた蝶ネクタイが外されてぶら下がっている。


「似合ってたのに取っちゃったの?」

「暑いんだよ」

「残念」


隣の椅子に座ったシリウスにカメラを向けてシャッターを切った。
音に気付いたシリウスは眉を寄せて此方を向く。


「俺なんか撮ってどうするんだよ」

「ハリーに見せるの。きっと喜んでくれるわ」


呆れたように溜息を吐いたシリウスはチキンにかぶりついた。
私もカメラを置いてサンドイッチに手を伸ばす。
ちょうどリーマスとドーラが踊り出したところだった。
ひっそりとした式と言ってもそれなりの人数が居る。
キラキラと光っている星が浮かんでいてとても綺麗だった。


「ねえ、シリウス」

「ん?」

「リーマスとドーラはちゃんとおめでとうって言えるの。でも、私ビルには言えるのかしら」

「…言わなくて良いんじゃねえか?」


思わず隣のシリウスを見ると気にしていないかのようにチキンを食べている。
咀嚼していた分を飲み込むと私を見て優しく笑った。


「悩むだけ無駄だ。言いたければ言えば良いし言いたくなければ言わなきゃ良い話だ」

「でも」

「ビルは気にしないだろ。あのお嬢さんはどうか知らないけどな」


そう言ってシリウスはワイングラスを一気に空にする。
ちゃんと言わなければ、とずっと思っていた。
けれどシリウスの言葉に少しスッキリしたのも事実。
シリウスのお皿にチキンを乗せるとお礼の言葉が返ってきた。


「やあ、名前来てくれて嬉しいよ」

「リーマス!おめでとう」

「有難う。いつ話しに来てくれるか待ってたんだよ?」

「あ、ごめんなさい。リーマス、ずっと誰かと居たから」


思わず謝ると冗談だよ、とリーマスは悪戯っぽく笑う。
そしてチキンを食べるシリウスを見ながら椅子に座った。
ドーラは?と聞いたら後ろを指差すので見てみると私の知らない女の人と踊っている。
リーマスが言うにはどうやらドーラの友達らしい。


「私写真撮ったのよ。また送るわ」

「楽しみにしてるよ」

「あ、蝶ネクタイしてるシリウスも撮ったの。それも一緒に入れておくわね」

「それは要らないかな」

「どういう事だよリーマス!」

「そのままの意味だけど?」


さらりと言ったリーマスはサンドイッチをかじる。
シリウスはムスッとした顔でまたチキンに手を伸ばす。
笑い出した私にシリウスは完全に拗ねてしまった。




(20130210)
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