あの日以来、色々な準備に追われていて何も考える時間がなかった。
騎士団本部はグリモールド・プレイスから隠れ穴に移る事になる。
グリモールド・プレイスには居られないので部屋探しをしなければならない。
他にも騎士団の任務もあってとにかく忙しかった。


時間を確認してグリモールド・プレイスを出発する。
ホグワーツ着くと既に椅子は半分程埋まっていた。
シリウスと椅子の方に歩いていると遠くにリーマスとトンクスが見える。
手を繋いでいて、髪の毛がピンクになっていた。
その横にウィーズリー夫妻とビルとフラー、フレッドとジョージが座っている。
空いている席にシリウスと並んで座るとシリウスが私の頭を撫でた。


真っ白な大理石のお墓にダンブルドア先生は眠っている。
私は少し前からこうなる事を知っていたのに。
ダンブルドア先生もドラコも助けられなかった。
ドラコは今何処に居て、果たして無事なのだろうか。


「名前」


影が出来たと思ったらジョージが居て、先程までシリウスが座っていた椅子に座る。
シリウスは今キングズリーと話し込んでいた。
きっとグリモールド・プレイスの事についてだろう。


「名前、その、名前がお願いしたって聞いたんだ。ビルとフラーの結婚」

「そうよ」

「良いの?」

「良いのよ。ビルが幸せなら良いの」


手を握られてジョージの顔を見ると泣きそうな顔をしていた。
以前もこんな事があったなぁと思ったら笑いが込み上げてくる。
不思議そうに首を傾げるジョージの手を離す。


「ジョージ、私の一番はビルなの」

「うん…知ってる」

「ビルが結婚してもそれは変わらないわ」

「だろうね。まあ、俺は名前がOKって言うまで待つけど」


拗ねてそう言うジョージを置いて立ち上がる。
シリウスの所へ行こうと歩き出すと後ろから抱きつかれた。
誰だか確認するととても綺麗なブロンドが目に入る。


「名前!やっと会えました!」

「こんにちは、フラー」

「お礼言いたかったです。それから、私名前がビルを好きな事知ってました」


初めてフラーがビルを見た日、解ったのだと言う。
確かに、ビルと大広間に居る時にフラーには睨まれていた。
それはきっと私の気持ちに気付いていたからだろう。
フラーは眉を下げて苦笑いを浮かべる。


「私ビルを幸せにします!」

「…うん、そうね」


ギュッと抱き締められて、フラーの肩越しにビルが見えた。
あの日の頬にあった傷は綺麗に消えていつもの顔に戻っている。
ビルに笑顔を向けてからフラーと離れた。
自分からあんな事を言ったけれどまだモヤモヤはする。
フラーにおめでとうと言う事はまだ出来そうもない。


リーマスと手を繋ぐトンクスに後ろから抱きつく。
その場に居たシリウスもリーマスも頭を撫でてくれた。
トンクスは優しく抱き締め返してくれる。


「リーマス」

「ん?」

「トンクスを幸せにしてね。私の大事な友達なのよ」

「約束するよ」

「名前も幸せになるのよ」


トンクスの背に回した腕にもう一度力を込めた。




(20130203)
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