シリウスと共にホグワーツに呼ばれて校長室を訪れた。
けれど私だけに話があると言う言葉に直ぐシリウスは出て行く。
ダンブルドア先生は手を組んでから何かを決めたように顔を上げた。


「名前、君はセブルスをどう思うかね?スパイではないかと、怪しいと、思うかね?」

「解りません…シリウスは、怪しいと言いますけど」


口癖なんじゃないかという程に怪しい、信じられないと言う。
最初はその都度そんな事ない、解らないと言っていた。
今では何も言わないのでシリウスは一人でポツリポツリと呟くだけ。


「君はドラコを信じておる。同じようにセブルスを信じて欲しいのじゃ」

「先生、スネイプ先生は絶対に味方だという理由があるんですか?」

「ある。詳しく話せない事を許しておくれ」


首を振って返事をするとダンブルドア先生は微笑んだ。
私には何も理由のない状態でスネイプ先生を信じるかを決められない。
けれど皆のように怪しいのだと決めつける事も出来なかった。
色々と疑ったりする要素はあるけれどドラコを気にかけているのは確かだろう。


「今晩、恐らくドラコは何かしら動くじゃろう」

「…はい」


ギュッと強く手を握って深呼吸をする。
ダンブルドア先生に頷いてみせると先生も頷いた。
手を握っても何だか胸騒ぎがする。


シリウスと合流して暫くするとビル、トンクス、リーマスが現れた。
巡回するように言われたらしい。
それはきっとドラコの事があるからだろう。
皆の腕にそれぞれミサンガがあってホッと息を吐いた。
ペアになって巡回しようという提案に私は即トンクスとリーマスをペアにする。
シリウスも手伝ってくれて思ったよりも簡単に頷いてくれた。
仕事だと割り切っている部分もあるのかもしれない。
ビルとシリウスと私で並んで歩き出す。


「今晩何かあるのかな。名前、知ってる?」

「多分、ダンブルドア先生がお留守にするから、それでだと思うわ」


曖昧な返事をしたビルと無言で歩くシリウスにドラコの事は話せない。
話してはいけないと言われた訳じゃないけれどそんな気にならなかった。
ドラコが大事で、でもダンブルドア先生も大事で、二つがぐるぐる回る。
ビルもシリウスも無理に聞こうとはしないけれど。


暫く歩いた時、大きな動物の守護霊が現れた。
何かあったのだと三人で走り出して守護霊の後を追いかける。
天文台に近付くとトンクス、ロン、ジニー、ネビル、リーマスに死喰い人、ドラコが居た。
ドラコは私を見て一瞬だけ顔を歪めて階段を登っていく。


「ドラコ!」


声の限りに呼ぶと途中で立ち止まったドラコは振り向いた。
ドラコの口が動いて何かを呟いたけれど聞こえない。
止めなければ、と走るけれど目の前に死喰い人が立ちはだかる。
次に階段を見た時はもうドラコの姿はなかった。




(20130203)
201
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -