知らせを受けて慌ててホグワーツに駆けつけた。
医務室の前でロンの無事を確認して急いで校長室へと向かう。
ダンブルドア先生は深刻そうな顔をして座っている。


「名前、君を呼んだのは他でもないドラコの事じゃ」

「はい」

「恐らく、以前のネックレスと今回の件は恐らくドラコの仕業じゃ」

「ドラコ、の?」


ドキリとした心臓を落ち着かせようと手を握った。
ドラコが忙しくしているというのはこの事だったのだろうか。
けれど、何の目的でケイティやロンを狙ったのだろう。
けれど確かネックレスも蜂蜜酒も別の相手に渡す物だった。
急に次々とあらゆる事が浮かんできてある事に気付く。


「先生、ドラコは誰かを、殺そうとしているのですか?」

「そうじゃ。流石じゃのう」


ダンブルドア先生は満足そうに頷いた。
私はまた頭を働かせて必死に考える。
ドラコは恐らくやらされていて、それはあちら側にとって邪魔な人物。
それは大きな存在としてハリーかダンブルドア先生。


「…その相手は、先生ですか?」

「そうじゃ」


否定して欲しかったけれど、これは自分で導き出した答えだ。
先生が以前言っていたドラコにとって辛い一年とはこの事だろう。
ガツンと思い切り殴られたように頭がフラフラする。


「先生、ドラコを助けてあげられないでしょうか?」

「今は出来ぬ。此方が気付いていると知られてはならぬのじゃ。ドラコの身を危険に晒す訳にはいかぬ」


一度だけ自分を落ち着かせる為に大きく息を吐いた。
ドラコを助けてあげたいのにどうする事も出来ない。
あんなにやつれて隈が出来ていた理由が解ったのに、今の私は無力だ。


「名前、君には時々ドラコの様子を見て欲しいのじゃ」

「え?」

「ドラコは君に大分心を開いておるようじゃ。少しだけじゃが助けになるじゃろう」

「そうだと、良いのですが」

「いつでもホグワーツに入るが良い。困ったらセブルスを頼りなさい」


スネイプ先生?と不思議に思ったけれど先生の言葉に頷く。




校長室から出たところに黒い犬が座っていた。
頭を撫でていると人の姿に戻り、その手を掴まれる。
先程強く握りしめたせいで出来た小さな傷。
シリウスはそれを見つけて指先で一つ一つなぞった。
チリチリと痛みが生まれて手を引いてもビクともしない。


「何かショックな事でもあったか?」

「え?」

「顔に出てる」


ピンと指先で額を弾かれて痛みが生まれる。
空いている手で押さえると手を引かれた。
歩き出したシリウスに連れられる形で後ろを歩く。
シリウスはやはり年上なのだとぼんやり思う。


「シリウス」

「なんだ?」

「帰ったら部屋をもう一つ借りたいの」

「好きにしろ。手伝えるなら手伝ってやるから」

「有難う」


医務室まで来ると人数の関係で入れないらしく引き返す事にした。
入口からロンがベッドで眠っているのは見えたし、アーサーさん達も居る。
先程まで居たハリー達は一足先に戻ったらしい。
気付かれないようにそっと医務室の扉を閉めた。




(20130126)
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