夕食をいつものようにシャロンと食べて、同じ頃食べ終わったビルとチャーリーに会って大広間から出ようとした時。
いきなり私は体がぐらりと揺れて後ろに居たチャーリーが支えてくれなければ転んでしまうところだった。
原因を探る為に首を動かすと緑とシルバーのネクタイが目に入る。
どうやら私はこのスリザリン生にぶつかられたらしい。
「謝れ」
「ボーッと歩いているのが悪いんだ」
チャーリーは私を庇うように前に立ってスリザリン生を睨みつける。
ビルとシャロンは私に怪我が無いかと心配顔。
二人に大丈夫だと告げれば二人もスリザリン生を睨みつける。
私がスリザリン生を見れば彼の目が私を捉えて意地悪そうに細められた。
「…あぁ、誰かと思えば、噂の一年生じゃないか。穢れた血の」
ニヤリと笑いながら彼がそう言った瞬間三人が衝撃を受けた顔になる。
私には聞き覚えのない言葉だったのでどうしてかは解らない。
シャロンはギュッと抱きついてきたし、ビルとチャーリーは怒っているようだった。
その様子と彼の表情を見て良い言葉では無い事だけは解る。
シャロンに手を引かれ大広間から談話室へと歩き出す。
後ろの方でチャーリーがスリザリンを減点する声が聞こえた。
談話室に入るとシャロンはソファーで私にベッタリで離れようとしない。
何度か声を掛けてもシャロンは何も言わないのでどうしようかと腕を伸ばす。
「なんで名前が頭撫でようとするのよ」
怒られてしまったので私は大人しく腕を引っ込める。
するとビルとチャーリーが談話室に入ってきて私達を挟んで座った。
二人揃って私に気にするなとか関係無いとか言うけれど私にはさっぱり。
「あの、あの人が言った事でどうして皆怒るの?それに、なんて言ったの?」
私の言葉にチャーリーは目を丸くしてビルはあぁ、と呟く。
シャロンは抱きつく力を更に強めたのでちょっと痛かった。
「穢れた血、マグル生まれの魔法使いの事をそう呼ぶんだ。特にスリザリンに多いんだけど、純血主義の人達が居る」
「純血主義?」
「魔法族同士で生まれた魔法使いは純血なんだ。俺達も純血だ」
「純血こそが優れている、と考えているんだよ。僕達はそんな事気にしない」
ビルとチャーリーが交互に説明してくれる。
その間もシャロンは離れようとはせずに抱きついたまま。
大丈夫という意味を込めてシャロンの頭を撫でる。
「名前は優秀だ。俺もビルもそう思ってる」
「私もよ!」
バッと顔を上げたシャロンに抱きついて、ビルとチャーリーには笑顔を向けた。
二人とも優しく笑って頭を撫でてくれる。
そしていきなり私からシャロンが引き剥がされてチャーリーに引き摺られていった。
あの二人はクィディッチ好きで話が合うらしい。
よく一緒に居て楽しそうにしているところを見かける。
どうやら呼ばれたらしくクィディッチチームメンバーの輪に入っていった。
それを見届けてからビルを振り返る。
ビルはぼんやりと何かを考えているような表情。
「名前、良かったら夏休み家に遊びに来ない?」
「え?」
「家は純血だけど、全く違う。返事はいつでも良いから、考えておいて」
ビルの突然の提案に私は頷く事しか出来なかった。
(20120706)
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