フラーと会わなければならない朝食は以前よりも少しだけ気が楽だった。
シリウスが一番遠い席にしてくれたからかもしれないし慣れたからかもしれない。


キングズ・クロス駅はやっぱりいつでも賑やかだ。
アーサーさんとモリーさんより先にお別れをして人混みを掻き分ける。
無理矢理着いて来ようとしたシリウスから急いで離れなければならない。
ハリーが居なくなると機嫌が悪くなるのだから見送りをするべきだ。
それに初めて来る場所ではないし私はもう未成年でもない。


人混みを抜けるのに少しだけ疲れて来た頃、目当ての人物が見つかった。
ダイアゴン横丁では声を掛けてしまったけれどどうしようか。
あの日ドラコを連れ帰った私に丁寧にお礼を言ったナルシッサさん。
実は私が純血ではないと知ればあの態度も変わるのだろう。


「名前?」

「あ、良かった。今お母様に貴方の居場所を聞こうかと思っていたところなの」

「そうか…母上はお前の血筋の事は知らないから大丈夫だ」

「そうなの?」

「ああ」


そう言いながらもナルシッサさんから離れていくドラコ。
ホグワーツ特急のドアの近くまで来るとその足を止めた。
振り返ったドラコはほんの一瞬不安そうな顔をする。
けれど直ぐにその表情を消し去って半ば無理矢理に笑顔を作った。


「お前は、ウィーズリー達の所に戻るんだろう?」

「挨拶はしてきたの。ドラコが見送って欲しいと言うなら此処に居るわ」

「…なあ名前、呼んだらまたホグズミード来てくれるか?」

「ドラコ!こんな所に居たのね。探したんだから。こんな人と話すだけ無駄だわ。行きましょ!」

「あ、おい待てパーキンソン!」


何処かから現れたパンジー・パーキンソンに腕を引かれて遠ざかっていく。
ガッチリと掴まれているらしく、振り解こうと動かしても取れないらしい。
ドラコを連れ去る際にしっかり私を睨みつけていった。
彼女のあの態度からするに相変わらずドラコが好きらしい。
慌てているドラコに手を振りながら彼女の後ろ姿を眺める。
ずっとあの子はドラコの事を好きなのだろうか。


走り出したホグワーツ特急の窓から覗くドラコの顔が見えなくなるまで見送る。
ドラコの問い掛けに肯定の意味で頷いたのはあちらから見えただろうか。
段々人が少なくなる中カーブで消えていく特急を見ていたら肩を叩かれた。
振り向いて居ると思ったシリウスではなく居たのは怒り気味のモリーさん。


「名前!いきなり居なくならないでちょうだい!」

「え?あ、あの」

「名前に何かあったんじゃないかって心配したのよ!」

「あの…すみません」


圧倒されながらも後ろからやってきたシリウスを見る。
ちゃんとシリウスに離れる事を言っておいたのに。
ギュッと力強く抱き締められて心配したと再び告げられた。
心配させた事を申し訳なく思いながらモリーさんを抱き締め返す。




(20130114)
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