「パースの住所か…ちょっと待ってて」


そう言って出て行く背中を見送って息を吐いた。
ビルの部屋にはエジプトの部屋にあった物が増えている。
ビルが撮った私の写真が入っている写真立てが目に入った。
私の部屋には勿論ビルの写真が飾ってある。
まさかビルも飾ってくれているとは思わなかった。
フラーとの写真があったらどうしようかと思ったけれど見当たらない。
やっぱり話に聞くのと実際に観るのとでは違う。


「お待たせ。これがパースの住所だよ」

「有難うビル」

「名前…パースに会いに行くの?」

「うん、そのつもり」


複雑な顔を浮かべてビルは椅子に座った。
見慣れたビルの字で書いてある住所。
パーシーが会ってくれるかは解らない。
私に対してどんな態度を取るだろう。


「気を付けて行くんだよ」

「うん。行ったら手紙を書くわ」

「いや、そっちに行くよ。行く日の朝教えてくれる?」


頷いた私の頭をビルの手が優しく撫でた。




魔法省大臣の補佐官だから相当忙しいだろう。
だからなるべく遅めの時間ならばと思った。
けれどまだ居ないらしく部屋に人気は感じられない。
とりあえず念の為に持ってきていた本を開く。


「名前?」

「あ、パーシー。お帰りなさい。突然ごめんね」


私の姿を確認したパーシーは驚いた表情をグッと引き締めた。
久しぶりに見るパーシーは顔色が良いとは言えず、少し痩せたように見える。
痩せたというよりもやつれたと言った方が正しいだろうか。
近くまで歩いてくるパーシーを見ていたら自然と手が伸びた。


「パーシー、ちゃんとご飯食べてる?ちゃんと寝られてる?」

「…何の用だろうか。僕は暇ではないんだ」

「そうね。魔法省大臣の補佐官なんて凄いわ」


笑顔を向けてもパーシーはにこりともしない。
出会った頃のような無表情なパーシー。
触れていた手は簡単に払われてしまった。


「アーサーさんとモリーさんが心配してるわ」

「僕は二人が魔法省が正しいと認めるなら謝罪を受け入れる」

「え…パーシーは、本当にハリーとダンブルドア先生の事を嘘吐きだと思ってるの?」

「君はポッターとダンブルドアが正しいと思っているのか?君は賢いと思っていたが僕の思い違いだったようだ。用件がそれだけなら失礼する」


その言葉を残し、バタンと目の前で扉が閉まる。
引き止める言葉も掛けられなかった。
何の表情も浮かべないパーシー。
私の記憶にはちゃんと柔らかく微笑むパーシーが居るのに。




(20121224)
166
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -