朝からあちこち大騒ぎでジニーは転落するしポドモアが来ないから出発出来ないと言ってモリーさんの機嫌は最悪。
おまけにブラック夫人の肖像画が叫んでいてかなり賑やかな中、黒い犬が居る事でまたモリーさんはツンとしていた。
ダンブルドア先生が確かにシリウスは駅に着いて行くべきではないと言ったのはつい一昨日の事。


ホームはやはり混雑していてとても賑やかだ。
ホームに来ているのにホグワーツ特急に乗らないのは少し不思議な気分。
いつもならフレッドとジョージに荷物を預けて監督生の車両に乗る。
皆と挨拶をしてから監督生の車両を見に来ると見覚えのあるプラチナ・ブロンドが見えた。
気付くか、と見つめていると薄い青色が此方を向く。
手を振るとキョロキョロと辺りを見渡してから此方に歩いてきた。


「名前!どうして此処に居るんだ?」

「皆のお見送りよ」

「ウィーズリーか…いや、そんな事より、僕は監督生に選ばれたんだ」

「凄いじゃない!」


バッジを見せるドラコを思わず抱き締める。
夏の間に背が伸びたらしく、最後に会った時よりも大きい。
もう私の背も越えてしまっている。


「そうそう、この本返すわ。有難う」

「また違う本が必要だったら言ってくれ。クリスマス休暇に選んでおく」

「有難う、ドラコ。でも大丈夫よ」

「名前、父上が此方に来る。父上に見られたら名前が危ない。戻れ」

「解ったわ。監督生の立場を利用して格好悪い事しちゃ駄目よ?」


私の言葉に苦い顔をして、それでも頷いたドラコに手を振ってその場を離れた。
人混みの中には知り合いも居て、あちこちに手を振りながら歩く。
モリーさん達の所へ戻ると何処に行っていたのだと怒られてしまった。
黒い犬を撫でていたハリーが此方へやってきて耳を貸して、という仕草をする。


「どうしたの?」

「約束通り、シリウスを宜しくね?」

「任せてハリー。心配ないわ」


にっこり笑ったハリーはモリーさんに急かされて特急に飛び乗った。
その近くでジョージが此方を見ていたので手を振ってみる。
フレッドがニヤニヤしながらジョージの背を叩く。
それを見ていたモリーさんのお説教の声は汽笛に掻き消されてしまった。


屋敷に戻ると昼食を作るモリーさんの手伝いにトンクスが並ぶ。
それを眺めながらシリウスとリーマスのチェスも眺める。
リーマスの手にシリウスが唸った瞬間、リーマスと目が合った。


「名前、どうしたんだい?」

「え?」

「浮かない顔をしているよ」

「うん…一気に静かになっちゃったなと思って」


これではまるで寂しいと思っていたのは私の方じゃないか。
小声で言ったのに静かな厨房では皆に聞こえていたらしい。
リーマス、シリウス、トンクスが順番に私の頭を撫でる。
モリーさんはギュッと私を抱き締めて優しく微笑んでくれた。




(20121219)
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