ウィーズリー家の皆とハーマイオニーが来てからというもの掃除は皆の仕事になった。
今まで掃除を担当していた私とシリウスは騎士団の会議に参加している。
ハリーの護衛の任務の事がかなり多かったけれど偶に挙がる死喰い人の名前。
その中でもルシウス・マルフォイの名前が出た時はげんなりした。
彼が死喰い人であるのはハリーから聞いていたから衝撃はない。


ドラコに出した手紙の返事は来ていなかった。
尤も、届いているかすら怪しいのだけど。
溜息を吐いて私は飛行機から降りる。


イギリスよりも暑くて、けれどそんなに湿気はなく思ったよりも涼しい。
辺りを見渡すとチャーリーが手を振っていた。
手を振り返してチャーリーの元まで急いで足を進める。


「よく来たな」

「本当は暖炉が使えたら良かったんだけど」

「まあ、そうだな」


行くか、と差し出された手に自分の手を重ねるとバシッと音がした。
久しぶりの付き添い姿眩ましに少しだけくらくらする。
頭を軽く振って落ち着かせると遠くから炎が上がった。


「ドラゴン?」

「ああ、研究所だ。シャロンが連れて来いって言うからな。案内するよ」

「チャーリー、その前に私ダンブルドア先生からのお使いが」

「そうだな…じゃあ先に話を聞こう」


チャーリーの後ろを歩いていたら色んな人に声を掛けられる。
どうやらチャーリーは皆と仲が良いらしい。
皆明るくてチャーリーみたいに太陽のように笑う。
中には去年ホグワーツで見かけた人も居る。


研究所内の小さな部屋に案内されて言われた通りのソファーに座った。
窓際に机があってその上には皆で撮った写真が飾られている。
きっと此処はチャーリーの部屋なのだろう。
小さな私はビルの横で幸せそうに笑っている。
紅茶を淹れてくれたチャーリーは向かい側に座った。


「これ、ダンブルドア先生からチャーリーに」

「サンキュー」


チャーリーに、とダンブルドア先生から預かった手紙を差し出す。
何が書いてあるかは知らないけれど何となく予想は出来る。
チャーリーとシャロンは外国の魔法使いを仲間にする事が仕事だ。
ドラゴンの研究も同時にするのだから凄いと思う。
手紙を読み終えたチャーリーは小さく息を吐いた。


「名前、届けてくれて有難う」

「私は任務もなかったから。シャロンはあそこに居るの?」

「ああ。ドラゴンの世話してる。案内するよ」


チャーリーが色々説明をしてくれるのを聞きながら研究所内を歩く。
あちこちにドラゴンの模型が置いてありその殆どが眠っていた。
研究所の人に会う度にガールフレンドかと聞かれてチャーリーはその都度訂正をする。
そんな光景が面白くてただ笑って眺めていたら頬を摘まれてしまった。


「痛いわチャーリー」

「名前も否定しろ」

「だって、なんか面白くて」

「ビルが居る癖に」


ムッとして言うチャーリーの言葉にドキリとする。
チャーリーはビルに振られたらルーマニアに来ないかと言ってくれていた。
前を歩くチャーリーの服を掴むと不思議そうな顔で振り向く。


「名前?」

「私ね、ビルには振られたのよ」

「…そう、か」

「でもね、」


くしゃりと頭を撫でられて言葉を続けられなくなる。
何も言わずただただ頭を撫でるだけのチャーリー。


「私、案外平気なの」

「本当か?」

「うん。なんとなく予想はしていたし」


そうか、と呟いたチャーリーは柔らかく笑った。




(20121214)
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