なんでこの屋敷はこんなに汚いんだ、と言いたくなる。
後ろから住んでなかったからなと当たり前のように言うシリウス。
持っていた箒で掃いてやろうかとも思ったけれど辞めておこう。
シリウスだって真面目に掃除をしてくれているのだから。
その時、下からリーマスの呼ぶ声がしてシリウスと二人で階段を降りる。


「名前、会いたかったわ」


凄い勢いで抱き付かれた私はよろけそうになった。
けれどしっかり受け止めて私もです、と呟く。
モリーさんの肩越しに呆れた顔のフレッドとジョージ、苦笑いのアーサーさんとビルが見えた。
丁度暖炉から出てきたジニーにリーマスとロンが手を差し伸べている。
私から離れたモリーさんがジニーの煤を払っているのを見てあれ?と首を傾げる。
パーシーはどうしたのだろう、と口を開いた瞬間パッとビルに口を塞がれた。


「名前、皆を部屋に案内してくれる?」


塞がれている為言葉を発する事が出来ない代わりに頷く。
リーマスがモリーさんとアーサーさんと話しているのを見ながら私は皆を案内する為に歩き出す。


階段を登りながらそれぞれ部屋に案内する。
フレッドとジョージの部屋を案内し終え、階段を降りているとビルが立っていた。
先程は気にしていなかったけれどあの日以来会うのは初めて。
大丈夫、平気だ、と言い聞かせる必要も余りない。


「名前、その…元気?」

「うん、元気よ。毎日掃除に追いやられてる」

「そっか、良かった。パースの事なんだけど、父さん達の前では言っちゃ駄目だよ」


首を傾げた私にビルは下を確認するように覗き込んでから話し出す。
信じられない話に私は口が空いていると指摘されるまで気付かなかった。
確かにあの時のファッジ大臣の態度を見れば新聞の記事は頷ける。


「パーシーは、魔法省に…それは、危なくないのかしら」

「大丈夫だと思うよ。今のところパースは魔法省が正しいと思ってる。此方側に来るのは難しいだろうけどね」


ビルの言葉に尤もだと頷くと頭を撫でられた。
ドキッとした気持ちを隠して笑う。
パーシーの事は今すぐはどうしようもないのだ。
ビルに対する気持ちもたった数日でどうにかなる物じゃない。
恐らく物事というのはなるようにしかならない事もある。
モリーさんに呼ばれるまま並んで階段を降りながらそう思った。


厨房に入るとハーマイオニーが到着していて、駆け寄って抱き締める。
その横に立っていた人は恐らく闇払いだろう、と顔を上げて言葉を失う。
今は紫色の腰まである髪の毛だけれど、本当は綺麗なピンク色だ。


「やあ、名前。久しぶり」

「トンクス!」


しっかり抱き付いてからトンクスをよく見る為に離れる。
記憶にあるトンクスよりも大分逞しくなった。
それはきっと離れていた時間のせいなのだろう。


「私ちゃんと立派な闇払いになったんだ」

「おめでとう」

「有難う。名前は可愛くなったね」


そう言うとあっという間にトンクスの髪は赤色に変わる。
久しぶりに見るそれは懐かしくて思いも寄らない再会に心が踊った。




(20121210)
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