何が起こっているかさっぱり解らず、皆いきなり現れたハリーとセドリック。
降りていく皆を眺めながら座っていたらビルに手を握られた。


「死んでいる!」


そう聞こえて遠くに横たわるセドリックに目を移す。
セドリックは全く動く気配がなく、両親が泣いている。
だって、セドリックは晩餐会で私に向かって微笑んでいたのに。


ダンブルドア先生が城に帰るように言うと一人また一人と歩き出す。
ビルに促されて私も足を動かし始める。
近くで見えたセドリックはやっぱり動かない。




医務室に行くというビル達に着いて私も医務室に入った。
けれどハリーは居らず、マダム・ポンフリーは弱り切っている。
皆がマダム・ポンフリーを問い詰めるのを聞きながら握られていた手に力を込めた。
一番隅のベッドには何故がムーディ先生が寝ている。
しかも、先程まで見ていたムーディ先生とは別人のようだ。


ハリー、ダンブルドア先生、黒い犬が入ってきてモリーさんが叫ぶ。
黒い犬が私の近くに来て空いている方の手を舐めた。
真っ直ぐ灰色の瞳が見上げて来るのを受け止めて頭を撫でる。
すると再びハリーの側へと戻っていった。


暫くすると何か言い争う声が走ってくる。
片方はマクゴナガル先生の声だ。
入ってきたのはマクゴナガル先生とファッジ大臣。
ダンブルドア先生とスネイプ先生も現れて言い争いを始める。
そして、ダンブルドア先生はヴォルデモートが復活したと確かに言った。
ヴォルデモートの単語に皆がギクリと動く。
ファッジ大臣は全てを否定して喚き散らして帰って行った。


モリーさんとダンブルドア先生が話しているのを聞いてビルが立ち上がる。
ビルはハリーの肩を叩いてモリーさんの頬にキスをして私の頭を撫でて足早に出て行く。



「あの、すみません。私少し…すぐ戻ります」

「待っておる。名字、君にも頼みたい事があるのじゃ」


頷いたダンブルドア先生に頭を下げて医務室から飛び出す。
廊下を走って行くとビルに追いついた。
名前を呼ぶ前に私の足音で気付いたビルが振り返る。


「名前?」

「ビル、私…約束覚えてる?」

「覚えてるよ。ちゃんと聞かなきゃね」

「…気を付けてね」

「大丈夫」


くしゃくしゃと私の頭を撫でて再び歩き出すビルを見送る。
アーサーさんの所まで、無事に辿り着けますように。




医務室に戻るとマクゴナガル先生、マダム・ポンフリー、シリウスは居なかった。
ちょうど出てきたスネイプ先生が私をジッと見つめてから無言で立ち去っていく。
私が戻った事に気付いたダンブルドア先生は私に椅子を勧める。


「名字、いや、名前、君はまだ進路は決まっておらんかったの?」

「はい」

「ヴォルデモートが復活した今、仲間が必要じゃ。わしに、協力してくれんか?」

「ダンブルドア!名前は、この子は危険なんですよ!もしあの人に見つかったら」

「モリー、名前は立派な魔法使いじゃ」

「でも、危険だわ」

「モリーさん、私ダンブルドア先生に協力します。私は皆を守りたいんです」


でも、と口を開いたモリーさんをダンブルドア先生が制して私を見て頷く。
心配で堪らないという顔のモリーさんに抱きついて小さく謝罪と感謝を伝えた。




(20121206)
153
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -