時間が過ぎるのはあっという間で、N.E.W.Tもあっという間。
合流したシャロンと大広間に行くとビルとモリーさんが居た。
幻かと大広間の入り口に立ち尽くしていた私の腕を引っ張ってシャロンがビルの隣に私を押し込む。


「こんにちは、名前。N.E.W.Tはどうかしら?」

「え?あ、はい。やれる事はやりました」

「そう、良かったわ」


にっこり笑ってモリーさんが言うのに多分ちゃんと返事はしたと思う。
私の頭の中はまだパニック状態で、隣でシャロンが笑っているのにも文句も言えない。
ビルが笑い出して人差し指で私の額を突っついた。


「驚きすぎだよ、名前」

「だって…どうして此処に?」

「ハリーの試合を観に来たんだよ。チャーリーは休みが取れなかったんだ」

「そうなの」


とりあえず落ち着こう、とオレンジジュースに手を伸ばす。
何処かから鋭い視線を感じて見渡すとフラー・デラクールが此方を見つめていた。
私は彼女とは一度も話した事もないし彼女は私の名前も知らない筈。
気のせいかもしれないし、気にしないでおこう。
オレンジジュースを流し込んで視線を逸らした。
すると、ロンが来て同じように驚いている。


「名前のお友達かしら?」

「あ、はい。シャロン・オルコットです」

「チャーリーから話は聞いてるわ。ドラゴンの研究をしたいんですってね」

「そうなんです」


ビルを押しやってシャロンがモリーさんの隣に座り込む。
ビルが苦笑いして席をズレると向かい側にフレッドとジョージとジニーが座った。
アーサーさんとチャーリーが居ないけれど隠れ穴に戻ったような楽しい気分。


隣にビルが居るなんて嬉しくてきっと私の頬は緩みっ放し。
クリスマスに落ち込んで何処かで引き摺っていた寂しさが吹き飛ぶ。


「名前、何になるか決まった?」

「まだなの。とりあえず、N.E.W.T終わってから考えようと思って」

「そうだね。残りは何?」

「呪文学の実技なの。自信あるから大丈夫」


時間になったので大広間から出るとビルが頑張ってと言ってくれた。
頷いたのに動かない私の足は気持ちにとても正直。
シャロンに引っ張られて移動するのをビルとモリーさんが笑いながら見ていた。


試験が終わった皆の意識は今や最後の課題に向けられている。
再びシャロンにビルの隣に押し込まれた。


「出来はどうだった?」

「まあまあ、かな。ビルのお守りのお陰」

「お疲れ様」


頭を撫でられて緩んでいた頬が更に緩む。
すっきりした気分でサラダを食べていると両隣からもっと食べろとサラダの上にミートパイを乗せられた。
ビルとシャロンにそう言われてしまえば食べるしかない。
ジニーが驚いた顔で見ていたので苦笑いを返しておいた。


ダンブルドア先生に言われてハリーが立ち上がると拍手が上がる。
ハッフルパフからも拍手が上がって振り返るとちょうどセドリックと目が合った。
頑張れという意味も込めて手を振るとセドリックはにっこり微笑む。
セドリックに言えない分ハリーに激励の言葉を贈る。
ハリーは幾らか緊張していた様だけど、前よりは落ち着いているようだった。


「さあ、行こうか名前」

「うん」

「反対の手は私ね」

「シャロンったら」


ビルの差し出した手に自分の手を重ねて反対の手はシャロンに引かれる。
後ろでジョージが不満そうにしていたらシャロンが手を繋いだのでフレッドが爆笑していた。




(20121206)
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