第二の課題が終わってどうやらシリウスはロン達と会ったらしい。
ハリーが食べ物を送ってくれると嬉しそうに書いてある手紙を鞄にしまった。
今度は鞄から新聞を取り出して机の上に広げる。
新聞や雑誌にはリータ・スキータがいい加減な記事を書いていた。
それによく出てくるスリザリン生徒の名前。
ドラコに尋ねた事はないし尋ねるつもりもない。
自分で気付いてくれたら良いと思うんだけど。


深く溜息を吐いて新聞をしまって教科書を広げる。
そろそろN.E.W.Tの勉強もしなければならない。
ビルと同じ道を選んで、ビルと同じ仕事を受ける。
追いつく為にも頑張らなければならない。


「N.E.W.Tの勉強か?」

「あら、ドラコ」

「邪魔だったら言え。僕は本を読む」


ドラコはふわりと微笑んで隣に座る。
思えば大分態度が変わって微笑むまでになった。
私の前ではこうだから話に聞くドラコとは全く結び付かない。
いつも皆にこういう態度だと良いと思うのだけど。


次から次へ問題を解いて教科書を読んでいく。
勉強はいつでも楽しくて時間が過ぎるのを忘れてしまう。
だからビルには頑張りすぎだとよく怒られていた。
図書館で勉強をしているとそれこそ時間はあっという間。
肩を叩かれて顔を上げるとドラコが此方を見つめていた。


「そろそろ帰らないと消灯時間に間に合わないぞ」

「え?もうそんな時間?」


見ろと言わんばかりに目の前に出された腕時計。
慌てて教科書や羽根ペンを片付けて呆れているドラコと図書館を出る。


「ドラコが教えてくれなかったら危なかったわ」

「僕は何回も声を掛けたぞ」

「うん、有難う」


片眉を上げたドラコの頬は青白い。
クリスマスにはクッキーを送ったけれど何か防寒具を送った方が良かっただろうか。
ドラコのマフラーがズレたのを直そうと腕を伸ばした。


「名前」

「ん?」

「卒業後は、どうするんだ?」

「それがまだ決まってないのよねぇ。決めなきゃならないんだけど」


ふぅん、と曖昧な返事が返ってくる。
何か考えている様子のドラコに悪戯心が芽生えた。
緑とシルバーのマフラーをいじってリボン結びにする。
ちょうどドラコの頭の後ろに緑とシルバーのリボンが出来上がった。
出来上がりに満足して自分のマフラーを巻き直す。


「卒業、するんだな」

「え?そうね、七年生…早いわね」

「魔法界で生きていくんだろう?」

「そのつもり。だから今職業案内を必死で見てるのよ」

「…そうか」


プラチナ・ブロンドを撫でてパンフレットの山を思い浮かべる。
またあれを見なければならないのかと思うと気分は重くなる一方。
今のうちにドラコで癒されようと頭を撫でる。
カメラがあればリボン結びのマフラーを写真に撮りたいけれど。


「ドラコ、私が卒業しても仲良くしてね」

「…当たり前だろう」


素直に頷いたドラコが可愛くて思い切り抱き締める。
O.W.Lの時にビルに貰ったお守りもあるし、ドラコが仲良くしてくれると言ってくれた。
この先に待ち受けるN.E.W.Tも職業探しにもかなり頑張れる気がする。




(20121206)
151
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -